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ジョナサン・ルイス 氏 
(一橋大学大学院 社会学研究科准教授) 


意識して日本語を話すことが大事  相談窓口は一本化の可能性

 ――留学生の日本語学習について。
 私が初めて来日したのはJETプログラムの英語教師としてですが、2年目になって英語の使われる会合を意識的に避けて日本語を使うようにしたおかげで、ある程度上達することができました。可能な限り意識して実際に話す環境に身を置くことが大事です。相当努力しないと、自然に母国語の環境に入っていってしまいます。特に英語コースの留学生の多くはそれほど意識的な努力はしないようですが、裏を返せば、努力して日本語力を身につけた人は就職活動や進学が間違いなく有利になりチャンスにつながるということです。
 留学生が日本語と専門を同時に学ぶことは、負担を考えると現実的には難しいと思います。しかし考えてみれば大学には日本人学生がたくさんいます。彼らと交流すれば日本語が上達することは間違いないのです。

――交流イベントをさらに増やすべきですか。
日本の大学等で行われる組織的な国際交流イベントに関しては、外国人が外国人として見られているという抵抗感がなくはないです。20~30年前に外国人を舞台の上に置き、特別扱いしていた時代の雰囲気です。個人レベルで声をかけ共に何かをすることが交流の本来の姿であり、外国人としてではなく、あくまで学生個人として扱ってもらったほうがうまく行くと思います。
 留学生に限らず、日本人学生も、孤立感や不安感、不況で学費が払えないなどといった様々な悩みを抱えており、それほど本質的な違いはありません。以前は留学生の相談窓口といえば留学生センターでしたが、各大学では国籍を問わず全学生の面倒を見なければならないという意識が浸透してきており、今後、相談窓口は全学生向けのものへと一本化されていく可能性もあると思います。

――日本人・外国人混住の学生寮などが増えると良いかもしれませんね。
 私はオックスフォードでの学部の最初の二年間は、寮でさまざまな国の人と一緒に生活していました。学生は大学から数キロ以内に住まなければならない規則があり、独身の教授もいっしょに寮に住んでいました。部屋の戸を開けた目の前が指導教官の部屋で、ゼミまでは5秒でした。このような形態は良かったと思います。留学生だけの寮はサービスにはなっていると思いますが、あまりすばらしくは思えません。日本語環境の面でも大学生活を楽しむ面でも、日本人との関係の中に身を置く事が大切であると思います。


1965年英国生まれ。1998年シェフィールド大学大学院卒業。哲学博士。1987年埼玉県立浦和高等学校英語助手。東京大学助教授、東京電機大学助教授等を経て、2002年一橋大学大学院社会学研究科助教授。専攻は情報社会論など。