Top向学新聞日本で働く留学生OBたち陶 陽さん


陶 陽さん(中国出身) 
(新川医療グループ) 


医師免許取得に制度上の矛盾
留学生には受験の規制緩和を

  日本の医学部への留学生は、医師免許の取得には制限があるのでみなあきらめているかもしれません。私は大学院を出たころ一度厚生労働省に問い合わせましたが、「もう少し長く日本に滞在することを決めてから資格を取ったほうがいい」といわれました。留学ビザでは医師免許の国家試験を受ける資格がないというのです。日本で就職し働きながら免許を取ることも不可能で、永住者や日本人の配偶者など職業の制限がないビザにまず変えなければなりませんでした。私はあきらめて製薬会社の研究所に就職しました。
  私は永住ビザがどういう条件で申請できるのか入国管理局に聞いたところ、「日本で10年以上生活し、就職してから5年以上経ち安定した収入があることが目安」とのことでした。なぜそんなに厳しいのか聞くと、日本の医師免許は取れば死ぬまで更新せず使えるので、取る時に厳しいというのです。アメリカは更新制度で、普通に働いていれば更新はそれほど難しくありませんが、免許を取っても働かないままだと維持は難しいのです。中国も大体同じような制度です。日本では医師免許をとって芸能活動をしている人さえいます。
  また、国家試験の受験には厚生労働省の定めた条件もあります。医学部出身であることはもちろん、卒業後5年以上医療と違うことを行っていても資格を失います。しかし入管は5年以上働かないと永住権は取得できないといいます。この矛盾があるのです。
  留学生に対してはこれらの規制を緩和すべきです。今日本国内では医師不足の問題が深刻であり、現場では直接中国本土から医師を輸入するといった話も出ています。それなら日本にいる留学生に門戸を開いたほうがいいでしょう。専門知識や語学のレベルで制限するのはいいですが、ビザ取得の資格で制限を設けるのはどうかと思います。留学生はいいかげんに入学しているわけではないのですから、例えば大学院修了者には受験資格を与えるなど、少なくとも挑戦する機会はもっと与えてもいいのではないかと思います。