向学新聞2020年10月1日号より>

特集 留学生の就職活動2020(2)

立命館アジア太平洋大学

~大学の就職支援最前線~

 多くの外国人留学生が在籍し、高い就職率を誇る立命館アジア太平洋大学(以下、APU)だが、今年の様子をキャリアオフィスの滝上博章氏にお話を伺った。

APU就職ガイダンス2018年

オンラインの活用
 9月上旬時点での内定率は、外国人留学生は昨年同時期比マイナス約25%となっている。例年、留学生が就職活動を本格化させるきっかけとなる大規模合説が中止となり、出遅れた学生が多い。APUは年間約200社が参加する「オンキャンパスリクルーティング」が特徴的だが、今年はコロナの影響ですべてオンラインに切り替えて実施した。9月時点までに、約190社が参加している。また、学内で実施する就活準備講座もすべてオンラインに切り替え、参加学生も講師も学校に来ることなく実施できるようにし、その動画もアーカイブで観られるようにしてある。7月実施のオンライン合説に参加した学生はのべ160名だった。これは昨年同時期に実施した学内対面式の場合の実に倍以上である。1社単位での個別の企業説明会にも対応してオンラインで実施している。
 キャリアオフィスとしては、とにかく、学生が企業と出会う機会ロスとならないように、オンラインに切り替えるなどしてできる限りの機会提供はしてきた。しかしオンラインで実施しても、参加するかは学生の主体性に任せるしかない部分がある。来校していれば、他の学生との雑談の中で出遅れている学生が刺激されたり情報交換をする機会もあるが、家にいるとそれがない。就職活動中の友達コミュニティのような横のつながりのための仕組み作りも必要に感じる、と滝上氏は言う。
 苦戦を強いられている今年の就職活動だが、プラスと感じる面としては、首都圏から遠く空間的不利な面があったが、オンライン化が広がる中で時間や金銭面の負担が軽減できたことや、チャットでの質問は心理的ハードルが低く気軽にできて良いといった学生からの声も上がっている。
 
企業への要望
 就職支援担当者の立場から企業側にお願いしたいことは、求める人物像を「主体的に行動できる」や「コミュニケーション能力がある」などといった表現で明示してほしいという点だ。他には、こういう経験がある人、こういうマインドを持っている人、会社のこの課題に取り組める人、など具体的にイメージできる書き方にしないと特に留学生には分かりにくい。もう一つは、留学生に対して、日本語能力のレベルを選考の最初のフィルターとせず、総合的な視点で人物をみてほしい、という点があげられた。
 これは多くの留学生就職支援担当者が日ごろ感じていることだ。選考において、日本語能力試験の資格が足りず、例えそこでマイナス評価を受けたとしても、そのマイナスを埋めて余りある他の強み(多言語能力、国際的経験、技術力、論理的思考、など)を持っている留学生はたくさんいる。そこもしっかり含めた視点での評価をお願いしたい。
 
留学生への激励
 「自分の持ち味を再認識して自信をもってほしい、語学力や経験など。日本文化は空気を読んで同化しようとする雰囲気があるが、その中で、対話しながらイノベーションを起こせるのは留学生だと感じる。コロナ禍下でオンライン化が一気に進みチャンスの時でもある。今こそ地方の学生も立ち上がって頑張ってほしい」と滝上氏は語る。
 出口の就職支援においても、APUの2030ビジョン「APUで学んだ人たちが世界を変える」人材育成を実践して取り組んでいることが伝わってきた。

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