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エコ・アクション・ポイント 


エコ商品購入でポイント付与 消費者にメリット、ビジネスとして発展


 今月は、エコ・アクション・ポイント事業を推進する環境省総合環境政策局の中島恵理氏にお話を伺った。

家庭部門のCO2削減
 
――エコ・アクション・ポイントとは何ですか。
中島 環境省が推進する温室効果ガス削減の取り組みで、特に家庭やオフィス部門に焦点を絞っています。日本は京都議定書で2012年までのCO2排出量6%減を約束していますが、家庭部門の排出量はむしろ増加しています。温暖化対策を個人に義務付けることは難しく、もともと環境に関心があって多少高価でも環境配慮型の商品を買う人は5%程度です。それ以外の環境に関心のない消費者を動かすためには魅力的なツールが必要だということで導入したのがこの仕組みです。
  具体的には、省エネ商品やサービスを購入するとポイントが貯まっていく、一般のポイントシステムのエコ版といえます。貯めたポイントは温暖化対策に資する商品や通常の商品と幅広く交換することができ、消費者にとっての経済的メリットを前面に打ち出している点が今までの省エネ促進運動と比べ新しい点となっています。1ポイント1円相当のポイント原資は企業に負担して頂き、エコ商品の販促ツールとして使って頂いています。
  エコ・アクション・ポイントを付けられる商品は「統一省エネマーク」(省エネ性能の五段階指標)が四つ星以上の省エネ家電、ハイブリッド車、家庭用太陽光発電などの使用段階でCO2排出を抑えるもの、そして廃棄段階での排出を抑える再生プラスチック製品、その他輸送の少ない地産地消食品や、レジ袋削減の取り組みなども対象にしています。
  環境省では2008年度からモデル事業の立ち上げを支援しており、昨年度は全国的なシステムを提供するJCB、電通、Tカードの3社と地域型の9事業を採択しました。全国型のJCBのエコ・アクション・ポイントのシステムは、複数企業が参加できる共通のプラットフォームで、地域型事業とも連携し、京都や北海道でしか通用しなかったポイントも全国版として使えるようにしています。ホームページ(http://eco-ap.jp/)で会員登録し、商品やサービスを購入するとシリアル番号の入ったシートがレジでもらえ、その番号をホームページ上で入力するとポイントが貯まっておおよそのCO2削減量も表示されます。
  企業にとっては自立したビジネスモデルとしての拡大発展が見込めるため、参加企業は徐々に増えています。例えばコジマでは高性能電球型蛍光灯にエコポイントを付与していますし、関西では阪急交通社がホテルと提携し、環境配慮型の「エコチャレンジホテル」に泊まることでポイントが付く「エコ泊」を展開しています。
  あらかじめ参加しやすい環境配慮型の商品・サービスを持っていた企業だけが参加しているわけではなく、例えばりそな銀行は金融機関の立場での参加手法を検討され、WEB通帳の口座開設をエコ・アクション・ポイントの対象とすることとされました。これは、WEB通帳は、通帳に使う紙分のCO2削減ができること、また、店舗まで出向く移動に伴って発生するCO2削減にもつながる環境サービスとしてエコ・アクション・ポイントの対象となったものです。これは、りそな銀行にとっては、自社のコスト削減にもつながるもので、また顧客に対してはWEB通帳を環境サービスとして魅力的にアピールができるというメリットがあるとのことです。これは我々も予想しなかった活用の形です。「びっくりドンキー」を経営するアレフは、環境にやさしいレストラン経営を目指して廃食油の店頭回収を行っていましたが、それとエコポイントを組み合わせました。従来は廃食油と引き換えにプレゼントを渡していましたが、エコポイントなら貯めてさらに素敵な商品に変えることができるというインセンティブがあり、お店の側にとっては、それにより廃食油を持ってくる顧客が増えれば、来店した際に食事をしていってくれるお客も増加するという効果も期待できるというのです。どう活用するかは企業のアイディア次第で、エコ商品を売っていなくても様々な参加の仕方が可能です。今年始まった「エコポイントの活用によるグリーン家電普及促進事業」(経済危機対策)とも連携し、さらに多くの企業に参加して頂けるよう取り組んでいきたいと思います。