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モッハマド アスリさん (インドネシア出身) 
(東京工業大学 情報工学科) 


言語の壁超えるには学部から留学を
人の成長のための指摘は必要


――留学生活で学んだものは。
 私は国費留学生として来日し、日本語を学んだ後に東京工業大学の学部留学生となりました。日本人の同級生からは、あきらめないで最後までやり抜く「武士道精神」を学びました。また、計画的な思考方法は日本人のよい点だと感じています。
 入学後に苦労したことはやはり日本語です。最初は板書が読めませんでしたが、理系の学問は一部が分からないままでは次の段階に進めないのです。カリキュラムの違いから母国では勉強していなかった内容なども出てきますが、それは自分で勉強するしかありません。言語の壁は留学生にとって大きな問題となります。特に大学院から留学した人は日本語が得意でない場合が多く、先生が英語で話すよう努力して下さるケースもありますが、それでも英語だけで100%通じるわけではありません。コミュニケーションの問題を考えるとやはり日本留学は学部からしたほうが良いと思います。

――将来の目標は。
 私の専門であるコンピュータサイエンスの分野で、母国でまだ発展途上の部分を補っていきたいと考えています。ただ学ぶだけでは足りないので、将来的にはコンピュータ発祥の地である欧米に行って経験を積みたいと考えています。実地で経験しそれぞれの文化のよいところを吸収したいのです。
 先日学内でMIT出身の科学者の講演を聞き印象に残ったことがあります。米国での研究のやり方は「切磋琢磨」であり競争が激しいですが、皆が互いに何を研究しているか知っていて、発表すると周りから忌憚ない意見や指摘がもらえるので自分もどうすればいいか分かるという、非常に建設的な競争の仕方なのです。日本はこれとは別の、自己のテーマに没頭する職人的な研究のやり方で、ゼミでは心理的な影響を気にしてか米国のような徹底的な批判はありません。しかしそれが全くないと自分が成長するために必要なこともわからなくなってしまいます。伝え方によって解決できる問題ですから、人の成長のための指摘はやはりする必要があるのではないでしょうか。



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