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タンティップ シリナビグ クラシエンアピバーン さん (タイ出身)
(東京大学大学院)
言葉に責任持つ日本人に感動 将来の夢は教員に
――留学のきっかけは何ですか。
米国や欧州も考えましたが、日本は米国と比べても設備はそれ程変わりませんし、日本の礼儀を重んじる考え方を学びたいと2010年秋に来日しました。現在は理学系研究科化学専攻で、固体化学について研究しています。
――日本の印象はどうですか。
私の家族は元々日本と深い関係があります。父がパナソニックのタイ法人で35年間勤務しており、日本企業の習慣などを教えてもらいました。父から日本について教わったことは、皆が約束事かどうかに関わらず自分の言葉に責任を持っているということです。実際に留学してみて、日本人はしっかりと考えた上で発言して責任を果たすので、そのことにとても感動しています。
――留学生活で苦労したことは。
現在所属している研究室では初めての留学生だったのですが、設備の使い方の説明が日本語しかなく、それを理解するのが大変でした。日本人学生に説明してもらいながら、同時期に入学した留学生と一緒に日本語を英訳して取扱説明書を作ったりしました。
また、文化の違いにも最初は戸惑いました。例えば何か困ったことがある時、タイでは何も言わなくても皆が手を貸してくれます。日本ではなかなかそうはいかず、寂しい思いをしたことがありました。ですが、日本では相手に「頑張ってほしい」、「学んでほしい」という思いからあえて手を貸さないことがあると段々理解し、素晴らしいと感じました。
――タイは仏教国ですが、日本との違いは感じましたか。
仏教は、タイの倫理観を守る上で欠かせない役割を担っています。私はタイにいた頃、月2回はお寺に通うなど熱心でしたが、もし仏教がなかったらどのような人間になっていたか分かりません。タイのお寺に行くと、日本のホームレスのような方々がいて、お寺からご飯を恵んでもらっています。自分がどれ程大変でも、もっと大変な人がいるのだから頑張らなければと思わされます。
日本だと、普段から熱心にお寺に通うといったことはあまりないかと思いますが、逆にそういったことをしなくても、良い人がとても多くて、それが不思議ですしすごいなと思います。
――将来の夢は何ですか。
将来はどうしても研究がしたくて、いずれは日本かタイで教員を目指しています。私は人生で成功を掴むため、大事にしている仏陀の教えがあります。それは①取り組むことを好きになる②努力③絶対に諦めない④それでも出来なければもう一度①に立ち返る、という内容です。何事も好きにならなければ上達しないし、努力しなければ何も生み出せません。そして諦めなければ必ず成功できます。この教えを胸に頑張っていきたいと思います。
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