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理系留学生の就活



Top向学新聞>理系留学生の就活 2017年3月号

理系留学生の就活 

~就職内定者インタビュー


 理系の留学生が日本で就職する際に、その合否を大きく左右している内容とは何だろうか。専攻と仕事内容とのマッチングは確かに重要だが、実際に企業は何を求め、学生をどう評価しているのだろうか。2017年春に企業への内定を得た理系の留学生に、就職活動の体験談を語ってもらった。

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面接で留学生の強みを生かす 

孫 黙涵さん
孫 黙涵さん(中国)
東京電機大学 工学部環境化学科4年
ゴム製品製造業内定



日本人以上の強みをPR



――会社選びの軸にしていたことは何ですか。

 化学系の専攻を生かして、やりたいことができるかを最も重視しました。そのほか勤務地が首都圏近辺かどうかも重要なポイントでした。


――海外業務の有無は気にしませんでしたか。

  母国関連の仕事をしたい思いはなく、せっかく日本に留学に来たので日本でずっとやっていきたいと思っています。ですから最初から「私を留学生だと思わないでください、日本人だと思ってください」という考えで就職活動をしていましたが、それが良かったのではないかと思います。つまり日本人と同じこともできて、さらに外国語もできるというPRのスタンスです。最初から「私は留学生です」とPRするのは、「私の強みは日本語ではなく母国語です」というのと同じなので、それでは多分企業の方も迷うところは出てくると思います。


――選考ではどんな点が評価されて採用につながったと思いますか。

 内定先は新入社員を基礎から教育する会社で、採用したのは学部生がほとんどでした。ですから人間性を重視する選考だったと思います。面接では自分の明るい性格や、思っていることを率直に誠実に答えた対応の仕方などが評価されたのではないかと感じています。面接では部長と技術職の方が来て、グループの皆に一人ずつ同じ質問をしていきましたが、私は他の方と回答が被らないよう工夫する際に、留学生の強みを生かすことができました。


――どういう受け答えだったのでしょうか。


 例えば、「ゴム関連でほかにいくつも有名な企業がありますが、なぜ当社を選びましたか」と聞かれたとき、他の方は「自動車のことが好きで、自動車を支えるゴム部品を作りたいから」などと答えていましたが、私は「御社のブレーキは60年間事故率ゼロと説明会で伺いましたがそれはすごいことで、事故が多い中国に持っていけば売れるのではないか」と海外と関連付けて答えました。また、「モノづくりは品質管理が大事ですが、日本製の方が質がいいから買いたくなるというのはおかしなことで、海外の物づくりの方法や規格は統一して、世界中の工場の品質を一致させるべきだ」と提言しました。



自信を持って思い通りの会社を選ぶ


――日本人にない観点をお持ちだと感じたのでしょうね。就職活動で大事なこととは何でしょうか。

 自分を信じることだと思います。外国人は日本語に加えて日本人以上の事ができる強みを持った人材です。企業はいま外国人を採りたいニーズがあるはずですから、自信を持ってやればいいのです。「どこかに就職できればいいや」という考えでやってしまうとダラダラ流されてしまいます。最初から自分を信じて、自分の思い通りの会社を選んで進めた方がいいと思います。
 また、準備は早めにしておいた方がいいです。私は3月から企業探しを始めましたが、エントリー受付が始まってから企業探しをして合うかどうか確認するのは時間の無駄が大きいです。私の研究室の日本人学生は12月から履歴書を準備し、1月のインターンシップに参加して、3月にスタートを切った時点でもう内々定を得ていました。企業は良い学生が居れば早く採りたいのです。


――特に理系の方向けのアドバイスはありますか。


 自分の専門にこだわりすぎないほうがいいですね。例えば私の専門は化学ですが、だからといって化学系の企業だけ選ぶと難しくなります。化学系企業だと、採用枠が10人なら7人は化学系で残り3人が文系や電気系を採るといった比率になりがちで、化学系学生の応募が集中して競争が激しくなりすぎます。自分は化学系の人との競争を避けるため、応募先は電機メーカーや自動車メーカーなど、電気・機械のほかに化学系の学生もほしいという企業を狙って行きました。化学系企業だけに絞らなかった点もよかったと思います。




まず外国人を求める会社を探すべき

アンジャニ プラタプ シングさん(インド)
アンジャニ プラタプ シングさん(インド)
慶應義塾大学理工学研究科 情報工学系修士2年
外資系空調機器メーカー内定



英語力を見込まれ採用



――内定先の企業はどうやって見つけましたか。

 6月の合同企業説明会で見つけてその場で履歴書を出しました。私は大学院では英語コースに所属しており、あまり日本語が上手ではなかったので、個々の会社主催の説明会に行ってもその場でエントリーシートを書くことができませんでした。内定先の企業は去年から海外の会社と合併して管理職の使用言語が英語になりました。私は英語ができるので採用が決まったのだと思います。入社後にはソフトウェア、ハードウェアの設計者として活躍する予定です。


――英語力を活かせる外資系の会社などにも応募されたのでしょうか。

 はい、しかし外資系の会社の多くは日本で物を売ろうと進出してきており、お客様は日本人なので非常に高い日本語能力を求めています。逆に、製品を海外に売りたい日本企業のほうが、英語で海外各国とやり取りできる外国人を採用したいニーズを持っていると思います。


――選考ではどんな点が評価されて採用につながったと思いますか。

 内定先は新入社員を基礎から教育する会社で、採用したのは学部生がほとんどでした。ですから人間性を重視する選考だったと思います。面接では自分の明るい性格や、思っていることを率直に誠実に答えた対応の仕方などが評価されたのではないかと感じています。面接では部長と技術職の方が来て、グループの皆に一人ずつ同じ質問をしていきましたが、私は他の方と回答が被らないよう工夫する際に、留学生の強みを生かすことができました。


――応募社数はどれくらいでしたか。


 最初20社ほど説明会に行き、そのうち15社ほどにエントリーしました。その時は、就職活動は難しいものではなく、面接を受ければ合格すると思っていましたが、全部落ちてしまい困りました。


――どんな会社を受けましたか。


 大手の有名な通信会社などです。日本の就職活動は募集期間が限定されていて、狭い採用枠に多くの応募が集中しますが、そういう現実をわかっていませんでした。特に難しかったのは筆記試験です。私は母国で3年の職歴を持っているので仕事ができない人ではないのですが、SPIは全て日本語で出題されたのでまず読むことができませんでした。内定を頂いた企業はSPIを実施していませんでした。


――研究室では主に英語でコミュニケーションしているのですか。


 私は英語で学位を取得できるコースに所属していますので、レポート、発表、授業とも全て英語です。卒業に日本語の勉強は必要ありません。しかし日本で就職や生活をしていくためにはやはりどうしても日本語が必要だと感じたので勉強しているところです。



外国人は外国人として就職活動を


――留学生の就職活動で大事なことは何でしょうか。

 まず最初に、どの会社が外国人をほしいのかを調べるべきです。外国人は外国人として就職活動した方がいいだろうと思います。私は、会社説明会に行っても本当にその会社が外国人を必要としているのか判断できませんでした。あとになって特段外国人へのニーズが無いとわかるのですが、それは最初からわからないのです。どの程度の日本語力を求めているか、実際自分が日本語をどれくらいできるかを見極めて、まずは外国人を求めている会社を探した方がいいと思います。


――インドでは日本ほど就職活動は厳しくないのでしょうか。


 インドでは会社によって募集方法が違いますので、学生は在学中も卒業後も就職活動しますし、1社応募して合否結果が出てから次の会社に応募します。会社の方から大学に来て選考を行い、一日で選考結果が出ることもあります。日本では卒業1年前から一斉に会社説明会が始まり、学生もみな一斉に応募するので、応募社数が多ければ多いほどチャンスが増えます。私は受ける企業の数は10社でも多いと思っていましたが、現実は全然そうでもないのです。こういった日本の就職事情についての情報がないと応募の機会を失ってしまいます。
 そもそも日本語が分からないと情報収集も十分にできません。中国出身の人の場合は漢字が読めるので、1~2年勉強すれば日本語は上達するでしょう。しかしインド人にとって日本語で一番難しいのが漢字です。非漢字圏からの留学生は、短期間で日本語を身に着けるのは難しいかもしれません。就職のことを考えている人は、できれば母国にいるときから日本語を勉強して日本に来るのが良いと思います。






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