Top向学新聞日本で働く留学生OBたち>王 嶺さん


王 嶺さん(中国出身) 
(TMI総合法律事務所 弁護士) 


社会的弱者になりやすい留学生

――弁護士の立場から感じることは?
 留学生が日常生活で遭遇する法律問題は多く、「残業代が足りない」「交通事故に遭った」等と個人的に相談を受けることもあります。留学生は社会的弱者の立場に置かれる場合が多く、法律の知識がなければ泣き寝入りをするしかありません。相談できる人がいない場合もあります。
 それで私は東大大学院時代に、大村敦志先生の「外国人と共に生きる」というテーマのゼミで留学生向け法律相談ホームページの作成に関わりました(http://www17.ocn.ne.jp/~lgis/)。自分の身に何か起こった時にどう行動すべきか、冷静に判断できる方は少ないのです。そこで、留学生が所属している学校の職員の方々がアドバイスできるように、職員に向けたメーリングリストに情報を流したりしました。日本人でさえ法律に関する援助制度があることを知らない方も多く、何かあった時に気軽に相談できるようにはなっていません。留学生にとってはさらに言葉の問題や、人や情報へのアクセスの問題があります。身分の不安定さもあります。在留資格制度のもとでは、更新する直前に会社との関係がまずくなって更新できなくなれば、帰らざるを得ないのです。
 昨今の大きな流れとして外国人や留学生は増加傾向にあります。こうした方々の法的サポートが必要なのはいうまでもありません。私が所属している弁護士会では外国人の権利に関する委員会を設けていますし、専門的な部署を設けて外国人案件を扱う公設事務所もできつつあります。外国人向け法律相談会も地域で行われています。今後そうした相談会はさらに盛んになっていくでしょう。法曹人口が増える中、外国人のために何かできないかと考える人も増えてきています。私も無料相談会に出る予定ですが、外国人の法律問題はそういう活動を通じて地道に解決に導いていくしかないと思います。



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