Top向学新聞日本で働く留学生OBたち>サケブ カン さん


サケブ カン さん (バングラデシュ出身) 
(JPモルガン証券株式会社) 


日本社会は「完璧」を追求 留学生の視点が貴重

――現在の業務内容を教えてください。
 海外のお客様と日本の投資家の繋ぎ役となって金融商品を提供するなどのクライアントサービスを行っています。

――日本社会で働く上で大切なことは何でしょうか。
 学生時代にできるだけ多く日本人と交流することです。日本には独特の文化やこだわりがあり、学生時代から日本社会で働く準備をするべきだと思います。例えば、日本社会の特徴の一つとして、「完璧」を追求していると思います。日本のお客様は、何兆円という単位の取引でも1円の誤差も妥協しません。そういった日本人の細やかさを知らなければ、「兆単位の取引なのに、なぜ1円にこだわるのか」と感じてしまうでしょう。日本のお客様が求めるクォリティー基準は高いですが、日本社会で働くことで、「完璧」へのこだわりを身につけ、世界のどこにいっても負けないという自信を持つことができると思います。
 日本人社員の仕事に対する責任感は世界と比較してもレベルが高いと感じています。ある仕事を日本人社員に依頼すると、時間通りにきっちりと仕上げてくれます。全く心配する必要はありません。
 また、日本人は会社に対する親密感も強いと思います。例えば、残業代が出るかでないかといった損得勘定ではなく、自分の会社だからこそ頑張りたいという気概で一生懸命働いています。こういった日本社会の文化を考えると、学生時代にどれだけ日本人と交流し、日本文化を学ぶかが重要だと思います。

――学生時代はどのように日本人と交流したのですか。
 インターンシップや寮での生活で、日本人と深い交流を持つことができました。長期間寮生活を送ったのですが、「空気を読む」ことが非常に大事だと学びました。

――日本人の「空気を読む」言動は、消極的な意味で捉えられることもありますがいかがでしょうか。
私はむしろ「他の人の立場や心境を考慮する」という意味だと捉えており重要なことだと思います。社内のグローバル会議の際、日本人社員の発言回数はそれ程多くはありませんが、よく考えて質の高い内容を話します。そういった点が評価されていると思います。

――お話いただいた通り、日本には独特の文化や習慣がある中で、留学生に期待されるものとは何でしょうか。
 企業にダイバーシティを持ち込むことができます。多様な人材による多様な発想や行動は、新しいアイディアや文化を生み出します。留学生は日本のいいところを吸収しながらも、自らのアイディアをどんどん提案していけばいいと思います。
 社内で長い間継続されている作業方法も、「なぜそうしているのか」と問いかけることで、プロセスを見直し、改善できることもあります。日本人社員が従来のやり方に慣れてしまっているからこそ、留学生の視点から見たものが貴重になることがあるはずです。



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