テア・セアンヒーさん (カンボジア出身)
(早稲田大学大学院商学研究科)
規律が浸透した日本 人と交わり語学学習を
――日本留学の経緯を教えて下さい。
私はカンボジアのプノンペン法律大学在学中に日本留学の試験を受け、当時6人だった国費留学生の一人として選ばれました。カンボジアはもともとフランスの植民地なので、法律などを学びにフランスへ留学する人は多いです。しかし私は経済に関心があったので、アジア唯一の先進国であり世界第二の経済大国である日本を留学先に選びました。経済に関心を持った理由は、母国の社会情勢と深く関係しています。私が高校生だった98年ごろ、カンボジアはクーデターのショックによる経済危機から抜け出すために多くの国から援助を受けていました。その状況を目の当たりにし、私も経済の分野を学んで母国の発展のために活躍したいと思ったのです。
――日本の印象は。
私が最初に素晴らしいと感じたのは、交通事故が少ないことです。日本では皆が交通ルールを知っていてよく守ります。ただ経済発展しているわけではなく、何よりも規律が徹底的に浸透している国だと来てみて初めて知ったのです。カンボジアでは交通ルールを知らない人も多く、最近までバイクの免許もありませんでしたので交通事故が多発しています。私の友人も中学のときバイク事故で亡くなりました。私は経済を学ぶだけでなく、カンボジアを日本のようにルールを守れる国にして、早く悲しい事故を減らしたいとも思っています。
――留学生活のポイントは。
日本語を上達させること、そして友達を多くつくることです。私は大学1年のとき授業の日本語が分からず、これから4年間やっていけるのだろうかと不安になることがありました。ですからテレビでドラマやニュースを見て日本社会を学んだり、積極的に日本人学生のサークルに参加しながら日本語を勉強する工夫をしました。言葉があまり分からないうちは笑顔で交わっていくことが大切です。そうすれば皆が話していることが分からなくてもすぐに打ち解けていけますし、皆が笑っている話の意味を分かりたいという気持ちが出てきて自然に日本語の勉強も頑張ることができ、友達も増えていくと思います。