Top向学新聞今月の人ボリジギン・セルゲレンさん
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ボリジギン・セルゲレンさん  
(東京大学大学院法学政治学研究科) 
(内モンゴル沙漠化防止植林の会代表)


沙漠化防止には理解と協力必要  木と人を同時に育てる

  私は中国内モンゴル地域の沙漠化防止のために植林活動を行うNPOを2000年に設立し、現在その代表を務めています。このNPOは、植林による緑化それ自体はもちろん、次世代を担う子供たちの教育と学校の自立支援にも力を入れています。
  内モンゴル地域では1980~90年代に、開墾や家畜の過放牧、樹木の伐採などにより急速に人為的な沙漠化が進行しました。黄砂が多発して経済に打撃を与え、多くの生態移民が発生しました。現在は企業や外部のNGO等による植林が進んできてはいますが、依然として厳しい状況にあることは変わりありません。私は98年に東京大学に来て、翌年にある団体の依頼で砂漠化防止についての調査を行ったところ、現地の機関が未整備である現状が判明し、自分でしっかりしたNPOを立ち上げようと思い日本で設立しました。
  砂漠化の防止には、何より現地の人々の理解と協力を得る必要があります。そのため、まずモデルになる植林地を作り、「木を植えただけでは活着しない、植えて管理することが必要で、3~5年経ったらこうなる」という証拠を見せ、また木から得る受益が誰のものであるかについても行政と協議します。特に次世代を担う子供たちとの交流を深めています。日本から毎年いくつかの団体が現地に入って植林しますが、彼らと現地の中学生とが協力して活動します。子供たちはその場で環境保護主義者になるわけではありませんが、大人になって振り返ってみたときに、その人たちが何のために来ていたか、自ら悟る材料を提供するのです。体験し、考えることこそが沙漠化防止の近道です。木と人を同時に育てることが必要なのです。
  実際、現地に行きそこでの生活と接すると、多くの人々は食べるのに精一杯です。私たちは、彼らの生活の向上のためにも木を植える必要があると考えています。私の家は半農半牧でしたが、小学生のときに父親といっしょに木を植えた経験があります。当時何も分からずに手伝っていましたが、私が大学に行くときに大きくなったその木を売って学費を出してくれました。そのおかげで学校に行けたことに感謝しています。2001年から現地の中学校で、14ヘクタールの土地を政府から請け負って木を植え、学生たちに、この木が育ったときには学校がよくなると言って聞かせました。その学校は移転するときにその木のおかげで移転費用を捻出でき、移転後には寮を作ることもできたということです。このような実例も、子供たちにとっては大きな教育の材料となったのではないかと思います。