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向学新聞2015年4月号


日本人留学生の割合が低下

               日中国際シンポジウム
                

 東アジア共同体評議会が2月24日、国際シンポジウム「日中関係の深化と拡大に向けた民間交流のあり方」を開催した。日中の有識者が集い活発な議論が行なわれた。
 
 中国に留学している学生の中で、日本人の割合が著しく低下している点が大きな焦点となった。1996年に約4万1000人だった中国で学ぶ留学生は2012年には約33万人に激増する一方で、日本人留学生の比率は約40%前後から5%前後にまで急降下している。厦門大学・陳武元教授は、「中日政府間の交流がほぼ滞っている中、留学生交流は非常に重要だが、中国への留学生派遣数は韓国、米国、タイ、日本という順位で、以前1位だった日本は4位まで下がってしまっている」と問題を提起した。
 
 一方で、一橋大学の太田浩教授が中国から日本への留学生の動向について「日本語学校の留学生数を見ると、2010~2014年の4年間で中国からの留学生は半減している」と指摘した。その理由として、「様々な国が中国人留学生を獲得しようと躍起になっており、特に米国が学部生を中心に受け入れを拡大させた。その影響は豪州などにも及んでいる」と説明した。日本の留学生受入れは多くを中国人学生に依存しており、中国人留学生の減少は大きな打撃となる。

 今後の対策のヒントとして、清華大学の曲徳林日本研究センター長が、日本科学技術振興機構が昨年実施したさくらサイエンスプランについて言及。アジア諸国2000人の学生を日本の大学・企業等に招き短期研修を行なったプログラムで、曲氏は「参加者の半数以上は中国人留学生だった。日本の大学や社会への理解が深まったと学生からの評判は大変良かった」と話し、北京師範大学の高益民教授も「短期留学は相互理解促進に有意義だ」と強調した。政治レベルでの日中関係が冷え込んでいる中、両国が学生を中心とした民間交流の意義を確認し合う機会となった。



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