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対談「災害時に役立てたいやさしい日本語」
 地球システム・倫理学会 第17回学術大会

ティモシー・フェラン氏

ティモシー・フェラン氏
宮城大学教授

佐々木瑞枝 氏

佐々木瑞枝 氏
武蔵野大学名誉教授
金沢工業大学名誉教授

 2021年11月6日、地球システム・倫理学会第17回学術大会が東北大学で対面とオンラインのハイブリッド形式で開催された。
 2021年は、東日本大震災から10年となるため、『3・11に何を学ぶか~将来のレジリエント社会の構築に向けて』というテーマで実施された。
 
 対談では、「災害時に役立てたいやさしい日本語―日英対照の観点から」とのテーマで佐々木瑞枝氏(武蔵野大学名誉教授)とティモシー・フェラン氏(宮城大学教授)との対談が行われた。2021年5月に内閣府から新たに出された「避難情報に関するガイドライン」の資料を中心に、外国人の視点に立って話が進められた。
 
 「緊急安全確保」のように、漢語の組み合わせが多く、外国人には理解が難しいため、「いそいで安全な場所に逃げる」などの口語表現にし、「やさしい日本語」の表が必要であると佐々木氏は指摘した。新しく内閣府から出されたチラシは、14言語で作成されているが、国籍が多様化しているためすべての言語を網羅するのは難しい。
 ティモシー・フェラン氏は、東日本大震災の時、宮城県名取市の自宅にいて、その時見たネットニュースでは東京の様子が映っていたため、この地震は東京が震源地だと思った、と当時のエピソードを語った。また、当時のネットニュースについて、「三陸沖」「太平洋沿岸」「大津波到達」など、日ごろ使わない単語や地名では分かりづらかった、と振り返った。AIによる自動翻訳など、いち早く大事な情報を得られるようにする必要性が指摘された。

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