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剣道  

人間形成を目指す「武士道」 戦国時代に多くの流派が誕生

剣道HP
(第61回全日本都道府県対抗剣道優勝大会の試合風景/全日本剣道連盟提供)

 剣道とは、日本の剣術を競技化した武道で、防具を着用し竹刀を用いて一対一で打ち合うものだ。事実上スポーツにも分類されるが、全日本剣道連盟は「稽古を続けることで心身を鍛錬し、人間形成を目指す『武道』である」としている。
 
 剣道の歴史は平安時代まで遡り、日本刀の出現と共に武士が刀を使い始めた。戦国時代には剣術に多くの流派が生まれ、江戸時代中期には剣道具が開発された。この結果、竹刀によって行う剣術の稽古(竹刀打込み稽古)が定着した。道場での剣術の試合も幕末にかけて急速に広まり、大正初期には撃剣・剣術という語を「剣道」と改め、これが日本の武士の精神に基づく「武道」とされた。戦後、1960年代ころからは女性も参加するようになり、学校体育にも
取り入れられた。
 
 剣道では、剣道着、袴の上から垂・胴・面・小手の防具(剣道具)を装着する。面を着用する際には頭に手ぬぐいを巻きつける。試合は常に一対一で戦う。互いに礼をしたあと蹲踞(膝を折り、爪先立ちで腰を下ろした状態)という姿勢を取り、審判員の「始め」の声で立ち上がり、竹刀を使って技を出し合う。全ての技は、竹刀で相手の防具の決められた箇所を打突して決まる。
 
 剣術の流派が多く誕生したのは戦国の世であったが、江戸幕府の始まりと共に平和な時代が訪れ、剣術は人を殺める技術から武士としての人間形成を目指す「活人剣」へと昇華した。
 
 江戸時代の著名な剣術家である柳生宗矩や宮本武蔵が記した兵法書は武士に、「如何にして死を超越して生に至るか」という問題を問いかけた。武士はこれらの指導書や教養書を学び、厳格で質素、また武術に励む日常生活を送った。そして、一旦危機があれば藩のために国のために命を捧げたのだ。それ以降も、「武士道」の精神は時代を超えて脈々と受け継がれ、日本人の心の中で生き続けている。




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