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ブィ・ティ・テュー・ズンさん (ベトナム出身) 
(東京農工大学大学院 情報工学専攻) 


日本でチームワークを学ぶ
懸け橋としてのエンジニアに


――日本留学で得たものは。
 私はアジア人財資金構想の特別プログラムで学んでいますが、そこで得た最も大きなものはチームワークの経験を積むことができたことです。授業では4人でチームを組んでプログラミングを行いました。日本人は人を個人として考えずチームとして考えます。個人が素晴らしくてもある人がよくなければそれはチームとしてよくないのです。皆でできることを一緒にやるのがチームです。ベトナムではチームで何かするといっても個人のペースでやりますので自信を持ってできますが、皆と一緒にするわけではありません。日本ではある人が遅刻すればチーム全員がB評価をもらいます。日本人と一緒に勉強して、日本の技術や商品のレベルがなぜ高いのか分りました。心から全体のことを考えてするので良い結果を生むのです。
 私は日本企業から内定を頂いていますが、就職活動もベトナムと違います。日本企業は10年、20年、ずっと定年まで働ける人を採用するので、エントリーシート記入から説明会、面接など採用のステップが本当に多いです。ベトナムでは4年程度で転職する人が多いので採用のステップもそれほど多くありません。また、日本では、若ければ会社に入る前に知識を持っていなくても、本当に興味や意欲があって勉強できるなら採用されます。ですからエントリーシートには成績を書きません。
 今内定をいただいている会社の場合、エントリーシートはベトナム語、英語、日本語の3カ国語で提出する必要がありました。面接は1時間で、私ひとりに対し面接官が社長を含む6人でした。専門の内容や将来の希望について聞かれましたので、私は架け橋としてのエンジニアになりたいと希望を伝えました。

――具体的にはどのような仕事ですか。
 日本のお客様のご要望を聞いてアドバイスし、開発はベトナムのチームで行い安価にシステムを提供します。ベトナムとのやり取りを行うブリッジエンジニアの役割は本当に大切です。日本のお客様のことが理解できなければ仕事が進みませんので、文化や慣習が分からなければ務まりません。そのためエントリーシートでは、日本人の友達が多いかどうか、日本での生活で何か社会的なイベントに参加していたかといったことを聞かれました。
 私はホームステイプログラムに参加した時、ITスキルを高齢者に教えるボランティアを経験しました。そこで感じたのは、日本人は高齢者でも心は二十歳だということです。年を取っても様々なことにチャレンジする姿には見習いたいと思いました。また、私の専門であるITを日本の普通の方に理解できるようどうやって話し、伝えるかというプレゼンテーションのスキルが磨かれました。ブリッジエンジニアの仕事もこれと同じで、お客様の注文に対しプロの立場から分かりやすく提案しながら進めます。ボランティアでの経験は仕事でも大きく役立つのではないかと思っています。



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