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タイラット ニーアムクリン さん (タイ出身) 
(東京大学大学院法学政治学研究科) 


仲間と一丸となる精神学ぶ  母が誇れる息子になりたい


――なぜ日本に留学しようと思ったのですか。
 昨年の10月に来日し、ちょうど1年になります。専門が刑法で、現在は、日本とタイの少年法における非行少年の権利保障についての比較研究をしています。日本で新しく始まった裁判員制度の下で、犯罪少年の権利保障がどのように扱われるのかを研究したいと思い留学をしました。
 また、母国で学部生だった頃、琉球大学に1年間留学し、そこで日本人の方が親切に接してくださり、その日本人の優しさに感動し、もう一度日本で勉強したいと思いました。

――なぜ刑法を研究されているのですか。
 国民の権利との関係が特に強く、人の生涯に大きく関わるからです。ですが、実際に研究を始めてみると、漢字や難解な日本語に非常に戸惑いました。現在、毎日4~5時間かけて、論文を読み自分なりにまとめ、レポートとして教員に提出しています。間違いがあったら添削していただくなどして、日々勉強に励んでいます。その成果もあって、現在は勉強すればするほど、面白く感じ、より意欲が湧き上がってきています。そして将来は教員になりたいと思っています。

――努力する原動力は何ですか。
 母が誇ることができる息子になりたいです。幼い頃に父親を亡くし、家族は私と母の二人だけです。現在は離れ離れに暮らし、私も母も寂しく感じていますが、よく電話をしています。母は「ご飯はちゃんと食べているの」と心配してくれたり、私が落ち込んでいる時は、「頑張ったらきっと出来る」と支えてくれ、その度にもう一踏ん張ってみようと思います。それに、日本には寂しく感じる時には、一緒にいてくれる友人もおり、励みになっています。一生懸命に勉強し、母国に貢献できる人間になりたいと思います。

――日本の魅力は何でしょうか。
 各地に旅行に行きましたが、自然がとても美しいと感じました。国民と政府が、自然を守るための政策をしっかりと実行しており、どこに行っても美しい自然を見ることができます。新幹線や飛行機などの交通機関も非常に充実しており、どこへでも短時間で移動することができ、魅力的だと思います。
 また、日本人から、仲間と一丸となって困難に立ち向かう精神を学びました。日本人は、どのような問題が起きても、仲間と手をつなぎ、一緒になって解決します。本当に素晴らしいと感じ、私も仲間と協力して課題に取り組む強さを身につけていきたいです。



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