朴 志善 さん (韓国出身)
(東京大学法学政治学研究科)
多様性に溢れる日本 日韓の議会を研究したい
――日本留学のきっかけは何ですか。
ソウル大学国際大学院(韓国)在籍時に、日本の政策決定過程を修士論文のテーマに選びました。さらに深く日本政治を研究するために博士課程で留学しました。
――現在何を勉強しているのですか。
韓国と日本の政府と与党関係について、特に政府案作成の政治過程を研究しています。
――韓国社会と日本社会の違いは何でしょうか。
両国ともに良い点と悪い点があると思います。まず日本は何か改革しようとすると、実行までに長い時間を要します。しかし、入念に準備をして確実に成果を出すことが多いです。一方で韓国は、決断はとてもスピーディーですが、修正点も多く変更を繰り返します。また、日本は個性を尊重し、多様性に溢れていると感じました。韓国は流行の力が日本よりも強いように感じます。相対的にですが、韓国はより集団主義的、日本はより個人主義的な傾向があると思いました。例えば、韓国と日本はどちらも教育熱心ですが、日本は医者や弁護士などエリートと言われる職業だけではなく、家業を継ぐことや職人への進路も大事にされています。韓国では大学進学の意識が強く、現時点では進路の多様性が日本ほどはありません。
――留学を通して得たものは何ですか。
韓国人は昔の影響もあり、日本はナショナリズムが強いというイメージを持っています。文化交流が盛んになった結果、現代日本のイメージが定着しつつあるものの、昔と今の日本のイメージが混在しています。日本に留学し、保守的な人もそうではない人もいることを実感として知りました。率直に話をすることで日本人の立場や心境も理解でき、日韓関係を客観的に捉えることができるようになりました。女性問題などテーマによっては国を越えて共感することもあり、より広い視野を得ることができたと思います。
――将来の夢は何ですか。
将来は学部時代に学んだ母校の梨花女子大学に就職し、韓国と日本の議会を研究したいと思っています。そして、学生が客観的に物事を捉える視点を育てていきたいです。本やインターネットを通じて多くの情報を得ることができる時代ですが、そういったツールでは本当の姿の一部しか分かりませんし、その一部を全てだと考えてしまう傾向があります。直接体験することが非常に重要で、それをもって批判するべきことは批判し、見習うべき点は見習うという姿勢で、学生と共に学ぶ教員になりたいです。
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