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李 相原さん(韓国出身)
(クロサワコーポレーション株式会社)
日本語づけになることが大切 就職活動自体も訓練の場
――母国との文化の違いをどのように乗り越えましたか。
私の場合、文化の違いに慣れようとするよりは「日本人になる」ように心がけてきました。日本について「なぜそうなんだ」と言い始めたらきりがないので、「そうなっているのならそうしよう」と合わせることにしています。「自分はこうなのだ」というこだわりは捨てるべきでしょう。日本の習慣・文化とのギャップに苦しんだあげくに開き直って受け入れるよりも、すべて最初からストレートに受け入れたほうがいいのです。
――日本語の上達のためにどのようなことをしましたか。
留学生にとって一番の敵は同国人です。私と一緒に4人韓国から日本に来ましたが、彼らといると絶対日本語が上達しないので一人で生活していました。そして日本人の友人を見つけようと軽音楽部に入りました。最初ははじめての外国人ということもあり話しかけられませんでしたが、たまたまポストが空いたのでチャンスだと思って手を挙げ、ウデを認めてもらってからは声をかけられるようになりました。以来、私は朝9時に学校に行ってクラブが終わるまで日本人と接し、日曜などはテレビを朝から晩まで見るという生活を続けました。それだけやればいやでも日本語はすりこまれます。日本語の言い方や言い回しなどはそっくりそのまま吸収して身に付けました。徹底的に日本語漬けになることが大事なのです。
韓国には尊敬語はありますので日本語の尊敬語もわかりますが、中国・台湾の方は中国語に尊敬語も謙譲語もないので、職場でお客様に「タメ口」をきいてしまう失敗例なども見受けられます。頭ではわかっていても、習慣として身についていないとつい友達と話すときの口調が出てしまうのです。自国の文化にはないコミュニケーションの習慣には要注意です。
私は1年間ずっと就職活動を続けましたが、その中で尊敬語や謙譲語を身に付け、自身のアピールの仕方などを勉強させて頂きました。留学生は、就職活動自体も訓練の場だと思って取り組んだらいいと思います。
――日本で働こうとする方へのアドバイスをお願いします。
私は就職活動の時点では自分が本当に何をやりたいかわかっていませんでした。それを見つけることは大事ですが、急がなくてもいずれは見つかります。一つの企業に入ってみて、そこでの勉強を経たうえで、何かしたいと思い立ったら研究してみればいいのです。人とのつながりの作り方や、人を喜ばせるためにはどうすればいいかといったことは、どの業種でも変わりません。要はそういう共通する部分を仕事の中でいかに学ぶかです。日本の会社でも母国の会社でも、得られるものは同じです。
――就職活動の中で企業について感じたことはありますか。
大手企業は最初にSPIで志願者をふるいにかけます。そうせざるを得ないのはわかりますが、外国人に関しては面接重視で採用したほうがいいと思います。実は有能なのに入り口で躓いて帰らざるを得なくなっている人材も多いかも知れません。30万人計画も就職が今のままでは実現するのか疑問です。企業は外国人を大幅に採用するように変わっていく必要があるのではないでしょうか。
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