Top向学新聞日本で働く留学生OBたちイコ プラムディオノさん


イコ プラムディオノさん(インドネシア出身) 
(NTT情報流通プラットフォーム研究所) 


外国人労働者への偏見は課題
まず留学生の絶対数増を

  私は以前、インドネシアからの研修生受け入れ問題について研究したことがありますが、日本への研修生は事実上低賃金単純労働者として扱われてきました。最近になって制度自体に問題があると認識されてきたようです。事実、研修生を人として見ていないような企業もあります。日本社会には本音と建前があるので、建前に隠れて感覚が麻痺している部分もあると思います。外国人受け入れ制度はあいまいなままなので、歪んだ市場原理による利益優先主義を産み、様々な企業が制度を勝手に解釈して安価な労働力確保の手段として使っています。研修生には優秀な人も多いのですが、そういうモチベーションで受け入れる企業は外国人への偏見を持ったまま受け入れていることになります。
 如何に優秀な人材をひきつけるかは一国の課題ですが、現状では高度な知識を持つ外国人は日本にあまり魅力を感じないと思います。企業の多くはまだ外国人をよく理解していませんし、外国人のポテンシャルを生かすための人事体制をとっていません。外国人労働者といえば単純労働者だという偏見も企業側に強く、固定観念をいかに変えるかが課題でしょう。制度面においても企業文化の面においても改革が必要になってきます。
  国内の現状を変えるには、まず留学生の絶対数を増やさなければなりません。まだ一部に少数で固まって居る存在に過ぎないからです。増やすためには奨学金制度の整備や日本語学習の負担の解決などを図る必要があるでしょう。大学院留学生はなかなか日本語を勉強できず、非漢字圏の人は本国である程度勉強してから来るのでないと日本で就職するのはなかなか難しいでしょう。英語で学位が取得できるコースを増やすのも一案です。
  また、研修生は研修終了後も引き続き日本に残って勉強したい人が多いのですが、技術移転という名目のため母国で研修した成果を生かすことが求められているので、現状では研修終了後一年間は留・就学ビザを取得することはできません。しかし日本社会で働いていた経験があり、さらに日本に残ろうと欲しているのですから、その人たちが日本社会に適応できないはずがありません。貴重な留学生予備軍ですので、留学したい研修生にはぜひビザを与えるべきだと思います。