
ディアズ スティーフェンさん (フィリピン出身)
(埼玉大学 経済学部経営学科4年)
留学で新しい自分発見 政治家になり母国を変えたい
――来日前の日本のイメージはどんなものでしたか。
私は母国では田舎の出身でしたから、日本に対しては複雑なオートメーション社会のイメージを抱いていて、少し怖い感じを持っていました。それで、国費留学生の試験に合格しても日本にあまり行きたくない気持ちがありましたが、一年間だけ日本語教育を受けてみようと思い来日しました。しかし、その一年間が私にとって非常によいものでした。日本人は私が来日前に持っていたイメージとは全く違い、実際はとても親切でやさしかったのです。日本人の「本音と建前」は区別できませんが、建前だとしても親切です。
――留学して自分自身成長したと感じている点はありますか。
フィリピンにいたときの私には非キリスト教徒に対する宗教的な差別意識がありましたが、日本に来てからはそういう差別意識はなくなりました。埼玉大学には多くの留学生がいますが、集まれば同じ留学生として気持ちが分かり、キリスト教徒でもイスラム教徒でも仲良くできるのです。今では文化の違いというものを認めることができるようになりました。
また、留学して一番よかったことは、自分のことが好きになったことです。なぜそうなったかというと、日本では周囲からの圧力がないからです。つまり母国では私はいわゆる「優秀な人」であり、周囲はみなそういう目で私を見ていました。「彼は天才でおとなしいからバスケットボールなんてできないよ」といった具合にです。しかし日本に来てからは周りの私をみる目がリセットされてゼロからスタートでき、自由に何でもできるようになりました。母国にいるときは自分の安定のことしか考えていませんでしたので、視野の狭い人になっていたかもしれません。私は留学して新しい自分を発見できたのです。
――将来はどうしますか。
政治家になり、日本で学んだ様々なことを活かして母国を変えていきたいと思っています。フィリピンは競争主義社会ですので貧富の差や教育レベルの差が激しく、いまだに十分に発展できないでいます。日本ではがんばればみなそこそこのレベルまでいけますが、これは日本の良い面だと思います。