Top向学新聞今月の人王 雪萍さん
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王 雪萍さん  
(慶應義塾大学大学院) 


知日派育てた中国の留学生派遣  ODA資金で大規模な奨学金の整備を

――王さんの研究について教えてください。
  私は、改革開放期の中国政府派遣留学生の留学効果と、政策評価に関する研究をしています。学部留学生は5年間で日本に379人が派遣されましたが、彼らがどこにいて何をしているのかは中国政府でさえ分りませんので、「ぜひ論文を出したら早く教えてください」といわれています。
  調査は3年かけて日米中3ヶ国にいる元留学生100人以上に会ってインタビューを行いましたが、結果としては、かなりの人たちが博士号まで取っており、帰国しても政府の日本担当になったり、日系企業へ就職したりと、日本と関連のある仕事をしている人が非常に多いです。米国に行った人でも同じような傾向が見られました。
  日本のことを熟知している若い知日派を多数育てたということは今考えると非常に重要なことで、長期的視点に立てばこの政策は成功したのではないかと考えています。その意味では、中国のために人材を育てたというよりも、むしろ日本のほうが恩恵を受けているのではないかと思います。日本としてはもう少し奨学金を出してでもこういう留学プログラムを支持し、アジアの若い人をもっと受け入れたほうがいいと思います。
  今の日本の奨学金制度は、優秀な留学生を育てるという面ではあまり役に立っていないのではないかと思います。私の意見としては、ODAはその名目をなくして、その資金でもっと大規模な奨学金を作り、日本留学試験で優秀な成績を取った学生に今後何千人何万人規模で支給すれば、もっと優秀な人が日本に来るでしょうし、日本の大学のレベルもアップしていくと思います。米国に行くような優秀な留学生にお金を出してでも日本に来てもらい、彼らがアルバイトばかりしなくても生きていけるような体制を整えれば、日本留学のイメージも向上するでしょう。人数の増大だけではなく、そういう質の高い留学生を受け入れる政策を、ぜひ政府には何らかの形で実現して欲しいと思います。