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卒業後の就職活動1年に
 


30万人計画の早期実現目指す  留学生の国内就職を促進 
法務省 入国管理局

  法務省は4月1日、留学生が卒業後に就職活動を引き続き行うため取得するビザの期間を、従来の半年から1年へと延長した。今年1月に出入国管理政策懇談会(法務大臣の私的諮問機関)が発表した「留学生及び就学生の受入れに関する提言」を受けたもの。ビザ関連ではこのほか、「留学」と「就学」の一本化などの法改正案が今国会に提出されており、可決すれば1年以内に実施して留学生受け入れ30万人計画の早期実現を目指す。

  大学を卒業、または専修学校専門課程で専門士の称号を取得して卒業した留学生は、在留状況に問題がなく、卒業した教育機関の推薦がある場合に、6ヶ月間の「特定活動」在留資格への変更が認められる。さらに1回の在留期間更新を経て、就職活動のために1年間滞在することが可能になった。在留期間中のアルバイトについても従来通り、個別の申請にもとづいて週28時間以内の資格外活動の許可が与えられる。
  留学生の就職活動ビザ制度は2004年から始まった。それまでは留学生が大学を卒業後に就職活動をする場合、許可される在留期間は90日間の短期滞在だった。小泉内閣当時の「構造改革特区」による規制緩和の中で、大分県は「90日の期間内に採用に至る可能性は極めて低い」という理由から期間の延長を提案。最長1年にすべきだとの案も宮崎県や福岡県から出されたが認められず、短期滞在ビザの1回の更新を経て最長180日間の就職活動目的の滞在が可能となった。
  当初は専門学校の卒業生はこの制度に申請できなかったが、2005年3月から、専門士の資格を得た留学生は卒業後に就職活動を行えるようになった。さらに2006年3月からは、就職先が決まれば卒業後1年を超えない範囲で、採用までの間滞在できるよう、出入国管理法の運用が改善された。
  しかしその後、就職活動期間が180日では不十分だとの声が各方面から上がった。政府の総合科学技術会議は、「米国内の研究機関で博士号を取得し就職活動する留学生には自動的にビザを一年延長することが検討されている」、「英国では2004年から学位取得者へのビザ延長制度が導入済みで、高度人材へのグリーンカード付与も容易になった」などの例を提示。日本もこれらの人材獲得策にならい、在留期間を1年にするべきだとした。
  社団法人日本経済団体連合会(日本経団連)は、ドイツやオランダ等で、留学生の北米等への流出を防ぐために卒業後1年間の就職活動のため滞在許可を与えている事例を指摘。日本で与えられる6カ月という期間は短いとの認識を示した。
  これらの指摘を踏まえて法務省内でも検討を重ねた結果、教育機関が継続して就職支援を行うことを前提に、留学生の卒業後の就職活動期間を1年に延長することを決定した。入国管理局の担当者は、「出入国管理政策懇談会の提言や『30万人計画実現のための骨子』の内容に従った。従来法の運用によって通達という形で措置したので早期に実現できた」と話している。
  日本企業への就職促進は、留学生30万人計画の主要な柱となっている。入国管理局においては、このほか、在留資格変更の際の専攻科目と就職先の業務内容との関連性について柔軟に対応することなどを通じて、30万人計画の早期実現を目指す。
  独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)が行った2007年度の私費外国人留学生の生活実態調査では、卒業後の希望進路としては「日本において進学」が38・6%だったのに対し「日本において就職」は61・3%にのぼっている(複数回答)。しかし同じくJASSOが2007年度に行った外国人留学生の進路状況調査では、日本国内での進学者は36・3%だったのに対し、日本国内で就職した者は30・6%にとどまっており、希望者のほぼ半分しか就職できていない計算になる。
  今回の就職活動ビザ延長など、法整備を含め、各省庁や関係機関の連携による就職支援策の充実が待たれるところだ。