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向学新聞2010年1月号


外国人研究者への支援を重視

総合科学技術会議
 


事業仕分けの結果見直し

  政府の総合科学技術会議(議長/鳩山首相)が12月9日に首相官邸で開かれ、2010年度の科学技術関連予算の概算要求について、専門家の視点から優先度判定を行った結果を了承した。行政刷新会議の事業仕分けで「廃止」とされた外国人研究者の受け入れ環境整備事業が、最優先して進めるべき事項と評価されたほか、「予算の3分の1を縮小」とされていたグローバルCOEも優先すべき事業と評価された。今後、この決定に従って予算編成が進められる。
  事業仕分け結果の再評価にあたっては、有識者議員のほかに外部の専門家や、パブリックコメントも通じて意見を広く募った。
  文部科学省が行う「外国人研究者受け入れ環境整備促進事業」は、研究者を定着させるために、2014年までの計画で1億円を2機関に支援。子供の教育受け入れ態勢の整備や、配偶者への仕事の斡旋、宿舎の借り上げや斡旋等を行う新規事業だ。事業仕分けでは「大学が自ら取り組むべき」「やり方が明確でない」などの意見が出され、廃止すべきと評価された。しかし総合科学技術会議では専門家らが「優秀な頭脳の獲得競争から我が国が取り残されつつある」と懸念を表明、外国人研究者受け入れのバリアを払しょくするものとして「きわめて有効である」と評価した。一般市民からのパブリックコメントでも、「日本の科学技術が今後国際的に発展していくためには海外からの人材の取り込みがカギ」だとして、評価する意見があった。ただ、教育・医療など環境整備の分野を重点化したり、対象となる大学を絞り込むよう促す声も専門家から出ており、計画の具体化の余地も残されているようだ。
  文部科学省の科学技術・学術審議会基本計画特別委員会が12月15日に公表した、「我が国の中長期を展望した科学技術の総合戦略に向けて(中間報告案)」でも、世界規模で進む「頭脳循環」の中で日本が確固たる位置を占めていくことが重要だとして、外国人研究者の受け入れ拡充を提言している。具体策として、生活面での支援を含めた事務局体制の整備や、周辺自治体と連携した子どもの教育、配偶者の就職支援等を挙げており、総合科学技術会議での決定もこれらを受けたものとみられる。
  鳩山由紀夫首相は、「若手の研究者が冷遇され、外国人の方にも非常に狭き門であるということ、これは大きな日本のマイナスの特徴だと思っており、これを克服しない限り、世界で負けない、科学技術において世界をリードする日本になり得ない」と述べ、受け入れの環境整備の重要性を強調した。



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