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向学新聞2013年3月号


元留学生に財政援助を

                    日本留学の広報強化へ 文科省

 文部科学省は、各国政府による奨学金支給外国人留学生へのフォローアップ方策について調査研究を取りまとめ、1月31日に公表した。
 
 帰国学生と継続的に接点を持つには、海外拠点の役割が大きい。しかし報告書では、日本は留学支援やフォローアップを目的とした海外拠点が他国と比較して圧倒的に少ないと指摘した。  日本学生支援機構(JASSO)の海外事務所が4カ国に設置されているが、Education USA(米国)は173カ国、ブリティッシュ・カウンシル(英国)は110カ国、Campus France(フランス)は97カ国に展開している。こういった国々の共通点は、留学生政策を経済・文化・外交政策の重要な一部と捉えていることだ。特に英国は、帰国後のフォローアップ政策に力を入れている。
 
 ブリティッシュ・カウンシルは、香港に全世界を管轄するグローバル担当者を配置し、110カ国197都市に及ぶ地域担当者をサポートしている。グローバル担当者が、各地域の情報を集約し発信することで、全体で情報を共有できるようになった。また、インドやサウジアラビアなど数カ国の支部が、共同でリーダーシップセミナーを実施。元英国留学生で将来有望な人材を無料で招待して絆を再構築するなど、ダイナミックな活動を展開している。学生の国際流動性が高まる中で、留学後もいかに愛着を感じてもらえるかを意識しているからだ。例え英国に留学したとしても、留学や仕事で他国へ移動することは珍しくない。元英国留学生だというアイデンティティの確立が重要になる。
 
 こうした状況に鑑み、報告書では、元日本留学生による同窓会活動への財政的な援助を有効な手段として主張している。インド、タイ、ミャンマーでは、元日本留学生が情報提供などで日本留学の広報に大きな役割を果たしている。既に活動基盤と人材が確保されている利点を考慮すると、予算投入の価値はあると提言した。



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