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向学新聞 2017年7月号


イノベーティブ・アジア始動

トップレベル理工系人材受入れ



 外務省は、ODA等を活用しアジアの高度外国人材を育成する「イノベーティブ・アジア」事業を2017年度から開始した。2021年度までの5年間にわたり、アジアのトップレベル大学の1000人の優秀な人材に、日本の大学院・研究機関等への留学の機会を提供する。対象となる研究分野は情報技術、IoT、人工知能等の理工学分野だ。日本国内の企業等でのインターンシップや、ジョブフェアの開催などを通じて卒業後の就職を支援し、将来母国に戻った際には産業発展を担う中核人材として活躍してもらう。


 2017年度の対象国とパートナー校は、アジア地域でODA対象国となっているインドやASEAN諸国など12か国の49校。マレーシア工業大学や泰日工業大学など、過去に日本から日本型工学教育を導入することでアジア有数の学府へと成長した大学も含まれている。


 日本の受け入れ先は京都大、東京大、東北大、早稲田大など15大学と理化学研究所など3機関。研究指導はすべて英語で行うが、希望者には日本語学習の機会も提供する。


 この事業では修士・博士の正規課程への留学のほか、研修員(滞日期間1年未満)として留学を伴わないインターンシップや研修を行なうこともできる。


 また、1年以上の課程を修了した参加者や、日本での就職を希望するパートナー校の卒業生は、高度人材ポイント制で10点の加算の対象とするほか、提出書類を簡素化できるようにする。ポイント制を利用しやすくすることで1年や3年といった短期間で永住権を取得できるようにし、日本への定着を促すとともに、国際的な流動性の高いトップレベル人材が母国と日本を行き来して活躍することを容易にする。


 日本企業への就職についての情報提供や、高度人材ポイント制の特別加算については、12カ国に加えシンガポールとブルネイも対象となる。在外公館やJETRO、JICA等が連携し、就職希望者を対象とするジョブフェアの開催やマッチングのためのサービスを国内外で実施する。


 こうした手厚い支援体制を整備することで、イノベーションを生み出すトップレベル人材とのパイプを築き、長期的には日本と各国との外交関係を強化することにつなげる。



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