向学新聞 2018年6月号
日本語学校生 4割超が家族から仕送り
最大4年間の追跡調査開始
国立社会保障・人口問題研究所の是川夕・国際関係部第二室長は5月、「日本における中長期在留外国人の移動過程に関する縦断調査」の結果の速報版を発表した(調査協力/特定非営利活動法人国際留学生協会)。2018年2月に実施した第1回のパイロット調査の結果をまとめたもの。日本国内の日本語学校から100校程度を抽出し、在籍留学生にオンラインアンケートを実施。342名から回答を得た。調査は今後最大4年にわたって継続し、生活状況の変化を追跡調査する。
回答者の国籍・地域の内訳は、中国が41・2%、ベトナムが28・9%、ネパールが6・4%。その他、台湾4・4%、韓国3・2%など。
主な収入源を尋ねたところ、52・1%が「アルバイト」と答えたが、「家族からの仕送り」も41・1%に上った。「奨学金」はわずか1・8%に過ぎなかった。収入の額は「0~19万円」が86・5%を占めた。
毎月の家族への仕送りの有無及び額を聞いたところ、84・4%が「していない」と回答。また、している人のうち約78%が1~5万円程度の範囲であることが分かった。
また、毎月の経済状況について尋ねたところ、62%が「普通」と回答。「ゆとりがある」と「ややゆとりがある」は合わせて12・6%だった。いっぽう「大変苦しい」と「やや苦しい」の合計は25・4%となった。多くの留学生の出身地域であるアジア諸国の生活水準が上がり、ひところの「苦学する留学生」といったイメージとは全く異なる実態が明らかになった。
日本語学校卒業後の将来の展望については「日本の大学・大学院へ進学」が53・3%と過半数を占め、「日本の専門学校へ進学」が21・5%、「日本で働きたい」が15・8%となっている。
同調査は、日本で暮らす留学生が就職・結婚等のプロセスを経て、次第に日本社会のメンバーとして生活を確立していく様子を明らかにすることを目指している。是川氏は調査の意義について、「留学生を(デカセギ目的などの)一時的な滞在者と見なすことで、日本社会の重要なメンバーとしてとらえて来なかったこれまでの見方とは一線を画すもの」と説明している。
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