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向学新聞2019年11月1日号記事より>


ABEイニシアティブ強化

6年で3000名、戦略的に募集


 安倍首相は8月28日の第7回アフリカ開発会議(TICAD7)における基調演説で、アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ(ABEイニシアティブ、African Business Education for Youth)の継続を発表した。今後6年にわたり、「ABEイニシアティブ3・0」として3000人の養成を目指す。


 ABEイニシアティブは、日本企業のアフリカ進出の水先案内人となるアフリカ人材を育成する事業。外務省がJICAを通じて2014年からの5年間で全54ヶ国・1200人以上のアフリカの若者を日本に招き、日本の大学での修士号取得と日本企業でのインターンシップの機会を提供した。インターンを受け入れた日本企業も当初の5・4倍の358社となった。2016年からは、将来の職長や工場長などの現場人材を育成する経済産業省が行う取組も加わり、3年間で1472名の現場人材を受け入れたが、これがいわば「ABEイニシアティブ2・0」にあたる。


 インターン生の受け入れを通してアフリカに進出する企業の例が多数出てきており、「3・0」ではさらにこの進出例を増やしていく。外務省国際協力局の担当者は「日本企業との接点を増やしたり、水先案内人としてプログラム終了後の学生たちが活躍できるようフォローアップを強化していく」と話す。例えばABEイニシアティブ研修生や修了生らによる「Kakehashi Africa」という全アフリカのネットワークがケニアを現地本部として立ち上がっているが、そういった受け皿を支援に活用していくことも検討に上っている。


 ABEイニシアティブ研修生の選考については、現在、年に数千人の応募者から100~200人程度が選ばれる高い競争倍率となっている。今後は戦略的な募集選考を強化する方向だ。各国ごとに日本企業が関心を持ちそうな分野を、現地の送り出しニーズも加味しながら特定し、重点的に募集していく。ビジネスを通して各国の経済成長を促し、産業の開発につなげる。


 また、ABEイニシアティブでは必須の日本語研修が来日当初の1日程度であることから、日常生活に不自由のないレベルには達しにくいことも課題ととらえ、「3・0」では語学研修を強化していく方向性だ。




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