<向学新聞2020年4月1日号記事より>
留学生の採用・活躍を促進
3省合同でハンドブック策定
企業向けチェックリストと好事例集
経済産業省、文部科学省、厚生労働省は2月28日、企業が外国人留学生の多様性に応じた採用選考や柔軟な人材育成等を実践できるよう「外国人留学生の採用や入社後の活躍に向けたハンドブック」を策定し、同時発表した。日本社会の理解者である貴重な留学生の就職と活躍を促進するため、企業や関係機関が取り組むべき事項をまとめている。
同ハンドブックの内容は、留学生に応じた採用選考や柔軟な処遇等を行う際に押さえておくべき項目を整理した「チェックリスト」、その各項目の具体的な取組内容や期待される効果を解説した「チェックリスト活用ガイド」、そして各項目の内容を実践する企業の好事例を紹介する「ベストプラクティス集」からなる。
チェックリストでは例えば、「外国人材の採用方針が経営者、人事、現場社員を含めて社内で共有されているか」、「配属先の決定の際、キャリア展望を踏まえた十分な説明が行われているか」など12の項目を設定。企業の実践事例としては、「採用選考時点での日本語能力は要件としないことを明示」、「外国人社員は入社後3ヶ月おきに面談し、キャリア展望について社長と相談・共有する機会を設けた」などの取組を紹介している。これらを企業が自社点検に使うことで日本人と外国人との考え方のギャップ等に対する気づきを促すとともに、外国人社員だけでなく日本人社員も含めた多様な個々人が活躍できる組織につなげることを目的としている。
同ハンドブックは、経産省の「外国人留学生の就職や採用後の活躍に向けたプロジェクトチーム」(座長/白木三秀早稲田大学教授)の成果をとりまとめたもの。同チーム委員の淺海一郎氏(内定ブリッジ株式会社)は、自社の保有する外国人定着度測定のメソッドをチェックリストの開発に提供した。淺海氏は「リスト公表に先行して、富山県で2月に実施された外国人材の定着支援セミナーで北陸企業のみなさまとこのリストを運用してみたが、その場で自社点検と振り返りができ新たな課題がみつかるなど概ね好評だった。外国人雇用において自社が何から始めたらいいのかわからない、どこを改善すればいいのかわからないとの声が多いからこそ委員会の議論を経てチェックリストを作成した背景がある。まずは自社の課題や次のステップを洗い出す作業に活用頂ければ」と述べている。
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