向学新聞2021年4月号目次>外国人対応に強い行政書士事務所
向学新聞2021年4月1日号記事より>

外国人対応に強い行政書士事務所

橋本 健一 行政書士  アローズ行政書士事務所(東京都)

通訳・翻訳でのビザ申請 業務内容の確認を

 今回は在留資格「技術・人文知識・国際業務」について、橋本行政書士に専門家の視点から語って頂く。同氏は20年以上に渡りアフリカやアジアで駐在や出張の経験があり、フランス語と英語でも意思疎通できる心強さがある。

アローズ行政書士事務所

橋本 健一 行政書士

はしもと・けんいち
〔略歴〕早稲田大学フランス文学科卒業。日本国際協力システムにて20年以上に渡り政府開発援助に携わる。主にフランス語圏アフリカ諸国を担当。コートジボワールの日本大使館で二等書記官として2年間勤務。
 ホームページ http://allos-j.com/wp/
 お問い合わせ先 ☎090-5505-7853
 住所 東京都墨田区菊川3-6-6-408


 留学生の皆様、日本に在留する又はそして日本に在留を希望する皆様、こんにちは!
 私は、東京の墨田区で外国人の在留に関する手続きのサポート行っているアローズ行政書士事務所の橋本健一と申します。
 今回は、これまで私の事務所に相談を頂いた外国人留学生(又は就職活動中の元留学生の方)や日本での在留を希望する外国人の方からお話を伺ってきた経験から、特に技術・人文知識・国際業務ビザ(以下、技人国ビザとします)を中心に、いくつか気づきの点を書いてみようと思います。

 文部科学省及び厚生労働省の2020年度大学等卒業予定者の就職内定状況調査結果(10月1日現在)によると、大学生の就職内定率は、男子で69.8%、女子で70.9%です。5年ぶりに70%を下回り、リーマン・ショック後の2009年につぐ下落幅となっています。
 また、専門学校生の就職内定率は男子で40.3%、女子で50.6%です。現在は感染症の影響もあるものと思われます。
 このように今現在の日本は、卒業後の就職を目指す大学生・専門学校生にとって就職先が簡単に決まってはいません。
 しかしそんな中、外国人留学生の皆さんは、授業に就活にしっかり取り組んでいると思います。

◎学歴「専門学校と大学」の扱い

 専門学校(専門課程のある専修学校、以下、専門学校で統一します)と大学とで、教育機関としての目的が異なります。
 外国人留学生の方が日本の専門学校を卒業して専門士の称号を取得する場合と、大学を卒業して学士の称号を取得する場合又は短期大学学士とでは、留学ビザから技人国ビザへの変更の際(又は、留学生がいったん自国に帰国後に在留資格認定証明書交付申請する場合)、日本の就職予定先での就業内容と各学校で専攻した学科及び授業の内容との関連について審査上の取り扱いが異なります。
 それは、専門学校と大学の学校としての性格が異なるからです。
 大学は、「学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とし、また、その目的を実現させるための教育研究を行い、その成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与する」ことを目的とするのに対して、専門学校は、「職業若しくは実際生活に必要な能力を育成し、又は教養の向上を図ることを目的とする」教育機関であるからです。
 簡単に言いますと、より実務的で実践的な勉強をしている専門士は、その勉強内容に合致した仕事に就くことが技人国ビザ取得の重要な条件の一つとなります。
 また、留学生が自国の大学を卒業している場合は、日本で大学を卒業している場合と同様に取り扱いがされることが通常ですが、大学によりましては例外もありますので、正確な情報をしっかり確認をする必要があります。

◎業務内容「通訳・翻訳等」について

 技人国ビザで行える仕事の内には、国際業務ですと、通訳・翻訳又は語学の指導の活動も含まれますが、その中から特に「通訳・翻訳」を取り上げます。
 私の事務所には技人国ビザ取得や変更を希望する外国人の内、それなりの人数の方が、この「通訳・翻訳」で申請してきます。
 その理由は、恐らく実務経験年数ゼロでも申請できること、「通訳・翻訳」以外では、学校での専攻内容と就業先の仕事内容の整合性の説明に難がある、ということだと思います。
 また、実務経験年数ゼロで「通訳・翻訳」でビザ申請をすることが出来るのは、原則として学歴は大学卒業の学士であることが前提となります。
 「通訳・翻訳」での申請の場合、必ずしも通訳・翻訳会社での仕事に限定されるわけではありません。就職先での仕事の内容にご自身の母語又は公用語等と例えば日本語との間の通訳翻訳業務があるのであれば、ビザを取得できる可能性はあります。
 但し、通訳翻訳会社でない場合は、同じ就業先で既に就労している外国人が「「通訳・翻訳」を活動内容とするビザで就業している場合、仕事の内容が明らかに「通訳・翻訳」には該当しない又は該当するとしても仕事のごく一部である場合等では、ビザを取得することは難しくなりますので注意が必要です。

◎就職活動での注意点

  就職活動での会社訪問・面接などの機会には、予定される報酬額がいくらなのかを確認してください。原則として同じ条件の日本人と同じ報酬額であることがビザの申請には、必要だからです。
 その他、どのような仕事をすることになるのか、就業時間、休暇、社会保険などについてもしっかり説明を受けてください。また、求人票で確認をしてください。

◎私も海外で外国人の立場を経験

 私は、前職でよく海外出張に出かけることがありました。大学でフランス文学を専攻した関係から、約20年以上にわたりアフリカのフランス語圏諸国、アジアの国々に出張、そして2年間コートジボワールのアビジャンでの駐在も経験してきました。
 巨大な蟻塚、バオバブの森、水上村落、か細いランタンのともる土とブロックの家並み等のアフリカの風景は、今でも懐かしく思い出します。
 そのような私の経歴が、今の行政書士としての仕事にどのように役立っているのか?フランス語や英語での意思疎通ができるということもありますが、それ以上に、出張先では自分が外国人であり、その国の各種制度や習慣に適応していくことの難しさと少しの楽しさを経験したことかもしれません。
 お仕事で外国の方からビザの相談を受けるとき、私はふとそのような過去の自分の体験をその方の姿にそっと投影しています。
 留学生の皆さん、今はコロナウィルス感染症の影響で、就職先を見つけること自体、とても大変な時期だと思います。それでも、日本語の勉強を続け、授業はしっかり出席して、良い成績を収めてください。就職する際に必ず役に立ちます。

in Africa

 セネガル・ダカール市にて

in Africa

 トーゴ・ロメ市にて

◎私も海外で外国人の立場を経験

 私は、前職でよく海外出張に出かけました。大学でフランス文学を専攻した関係から、約20年以上にわたりアフリカのフランス語圏諸国、アジアの国々に出張、そして2年間コートジボワールのアビジャンでの駐在も経験してきました。
 巨大な蟻塚、バオバブの森、水上村落、か細いランタンのともる土とブロックの家並み等のアフリカの風景は、今でも懐かしく思い出します。
 そのような私の経歴が、今の行政書士としての仕事にどのように役立っているのか。フランス語や英語での意思疎通ができるということもありますが、それ以上に、出張先では自分が外国人であり、その国の各種制度や習慣に適応していくことの難しさと少しの楽しさを経験したことかもしれません。
 外国の方からビザの相談を受けるとき、私は過去の自分の体験をそっと投影しています。
 留学生の皆さん、今は感染症の影響で、とても大変な時期だと思います。それでも、日本語の勉強を続け、授業はしっかり出席して、良い成績を収めてください。就職する際に必ず役に立ちます。


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