TOP>留学生サポート講座
向学新聞2021年7月号目次>留学生サポート講座

向学新聞2021年7月記事より>

留学生サポート講座

留学生サポート講座

内定ブリッジ淺海一郎氏

淺海 一郎
内定ブリッジ株式会社代表取締役、ビジネス日本語教師、厚労省「雇用管理に役立つ多言語用語集及び翻訳データの作成・普及事業」有識者研究会委員、JETRO高度外国人材スペシャリスト

第1回 
「就職活動~企業のニーズ、自分のビジョン~」

コロナウィルスの影響で、みなさんの就職活動も、いつもと違うことがたくさんあります。また、心配な気持ちの人も多いと思います。まず、全国の日本の会社が、今、外国人をどのくらい採用したいのか、考えてみます。

日本の会社は、どのぐらい外国人に来てほしいですか?
 以下のグラフは、日本の全国にある約3000の会社に聞いたアンケートです。「外国人を採用したいですか?」という質問で、点線で囲まれた会社が、外国人の採用に興味がある会社です。

グラフ

 このアンケートは、3年間、日本のたくさんの会社に、同じ質問をしています。一番下のデータが2020年の結果ですが、これはコロナウィルスの影響がある、2020年7月〜8月に調べています。ですから経済がコロナウィルスの影響を受けたあと、どのくらい外国人を採用したい会社が減ったかがわかります。2019年は50・8%の会社が外国人の採用に興味がありました。2020年はそれが48・7%になりました。2つの違いは2・1%ですから、外国人の採用をしたい会社が急に減っているとは言えません。
 
 しかし、これは3000の会社、全部の話です。これだけでは、在留資格のことや、業種のことはわかりません。たとえば、留学生のアルバイトは少なくなりました。また、コロナウィルスの影響を大きく受けているビジネスもたくさんあります。たとえば、飲食ビジネスやインバウンド、宿泊観光ビジネスなどで就職をしたい文系の留学生には、まだ厳しい状況が続くかもしれません。また、理系の留学生でも、その技術に関係あるビジネスが厳しい状況だと、就職活動も難しいかもしれません。では、みなさんはどうすればいいのでしょう。
 
会社が留学生を採用したい理由
 私は外国人を採用している会社のコンサルティングをしています。ですから、全国の色々な会社から相談や質問をもらいます。会社に入ったあと、1年から2年で会社を辞めてしまう外国人もいます。また逆に、その会社に必要な人を採用できなかった会社もあります。こういうミスマッチをなくすために、みなさんができることの1つは、その会社がどうして外国人に来てほしいのか、よく調べることです。そして、その会社にどんな外国人がいるのかも、確認してください。会社が外国人に来てほしい理由は、会社によって全然違います。また、会社が考えているみなさんのキャリアと、みなさんが考えている自分のキャリアが全然違うと、みなさんはたぶん、その会社をすぐ辞めることになります。

日本でどんなことをしたいですか?
 もう1つ、みなさんにできることがあります。それは、自分が日本でどんな仕事をしたいのか、みなさんがよく考えることです。日本の新卒採用の場合、だいたいの会社には研修がありますから、みなさんがすぐ会社で活躍できなくても大丈夫だと考える会社はたくさんあります。一方、みなさんが将来(研修のあと)、会社でどんな仕事ができるのかということは、会社にとってとても大切なことです。みなさんはこれから、その会社でどんな仕事をして、どんな成長をしたいですか?どんなキャリアを日本で作って、どんな人生を送りたいですか?そのキャリアのために、みなさんはどんなスキルを持っていますか?そしてそのスキルを、その会社でどう使いますか?面接のチャンスを探すだけではなく、こういうことをよく考えて準備してください。

終わりに 
 今年度もコロナウィルスの影響があるため、みなさんも会社も、将来について心配していると思います。心配だからこそ、みなさんも会社も安心できることをたくさん考えましょう。きっとみなさんに来てほしい会社があるはずです。みなさんがそんな会社と出会えることを祈っています。


あさみ先生の留学生サポート講座
第1回 就職活動~企業のニーズ、自分のビジョン~
第2回 相手の考えがわかると、ビジネス日本語も上手になる 
第3回 コミュニケーション以外で、日本語について外国人社員が困っていること

a:2364 t:2 y:1