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向学新聞2021年7月号目次>日本文化の底力
<向学新聞2021年7月記事より>
日本文化の底力
お笑い輸出課プロジェクト
藤田ゆみ / Ko(吉本興業) 第2回
お笑いを通じた社会貢献や世界平和を目指す、お笑い輸出課プロジェクトのお二人。今回は留学生へのメッセージ。
藤田ゆみ
吉本興業所属「スペイン語大好き芸人」藤田ゆみです。名前はスペイン語ではフヒィータ・ジュミと読みますので、ゆみかジュミと覚えて下さい。お笑い輸出課プロジェクトの中で、漫才で覚えるスペイン語の授業を担当しています。
さて、読者の皆様、今までの人生で一大決心した事はどんな事でしょうか。留学生の皆様にとって、母国を離れ、日本に行こうと決意した事は、とても覚悟がいる事だったと思います。私自身、芸人を目指しNSC(吉本興業が運営するお笑い芸人養成所)に入学したのは32歳の時でした。仕事を辞め、厳しい芸の世界に飛び込むのはかなり勇気のいる事ではありましたが、そこで同期芸人の国際夫婦漫才師「フランポネ」と知り合い、彼らと一緒に日本の漫才を世界に広める活動に携わる事になったのです。
ちなみに私の相方はメキシコ人留学生です。彼は漫画家を目指して活動する傍ら、日本の大学で学んでいます。彼が目指している漫画の世界も、お笑いと同じく厳しい世界ですが、ジャンルは違えど夢を持って励まし合える仲間に出会えた事は、お互いにとってとても貴重な出会いとなりました。
新しい事に挑戦するのは大変な事かもしれませんが、そこから一歩踏み出す事で新しい世界が開けます。皆様とは今後日本語学校かオンライン授業でお会いする機会があるかもしれません。ぜひ、一緒に日本の「MANZAI」を通じて楽しく日本語を学びましょう!Animo!(アニモ!スペイン語で「頑張って」)
Koの海外経験
今回は僕の海外経験についてお話しします。
皆さんと同じように僕も大学生の頃、アメリカに2007年から1年間の交換留学をしました。全てがうまくいったわけではありませんが、初めて海外に住む経験をし、母国とは違う文化の中で生活をしたことで新しい価値観を見つけることができました。例えば、日本では言いたいことがあっても相手に気を遣って言えないことが多々あります。しかし、アメリカでは言いたいことは言う。周りに合わせることが良しとされる日本と違い、自分が良いと思ったこと、やりたいことは周りを気にせずドンドンやる。こういう違いを生で経験することで、アメリカに合わせた自分が出来上がる。別にアメリカ人になりたかったわけではありませんが、そういう一面を自分の中にインストールして、自分を広げていく感覚が新しく、楽しかったです。
そこから時は経ち、2013年から西アフリカのセネガルでボランティアとして仕事をすることになり、セネガルの小さな町で生活しました。経済大国のアメリカとは違い、発展途上国。そして主な宗教がイスラム教。暑い時は50℃を越え、エアコンも無い。移動は徒歩か馬車。日本ともアメリカともまた違う環境の中で、そこでも自分なりに生きていく術を身につけていく。セネガルの現地語(ウォロフ語)を覚え、現地の食べ物をセネガル人と一緒に食べ、一緒の時間を過ごしていく。そして、少しずつ自分の中にセネガルを取り込んでいく。アフリカ流の考え方や価値観を自分の中にインストールしていく。これを繰り返すことで、段々と他人には真似できないキャリアや経験が積み重なっていく。そして、それが現在の自分の価値になっています。
現在、僕は芸人以外にも、サッカーJリーグのサガン鳥栖というチームの英語通訳としてアフリカから来た選手のサポートもしています。色んな経験をしたことで、チャンスが来て、そこで頑張るからまた次のチャンスがやってくる。皆さんも自分の国を離れて日本に来て生活をしています。思い描いていたような生活をしている人もいれば、今とても大変な思いをしている人もいるかもしれません。でも、色んな困難を越えることで母国に帰った時、次のステップに進む時、皆さんを必要としてくれる人が絶対にいるはずです。コロナ禍で世界中が大変な状況ですが、みんなで笑顔で乗り越えましょう!!
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