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向学新聞2023年4月号記事より>

日本のお葬儀事情
陳麗娟さん (中国出身)
フェリス女学院大学 

陳麗娟さん

今日は私が日本で生活する上で、日本のお葬式事情から読み取った日本人の死生観についてお話したいです。
 
私が初めて日本の葬儀事情に気づいたのは、葬儀社の広告をもらった時でした。私は今でも自分のポストから葬儀社の広告が出てきたのを見た時の気持ちを覚えています。正直にいうと、私は葬儀社の広告を見るのも人生初でした。その時、普通に他の飲食店の広告と混ざっていたそのチラシを見た時はショックでした。なぜかというと、自分の中国での生活経験では、葬儀など死と関係するものは特定の場合しか会えなかったからです。日常とは全く別のもので、死に関するものはタブーです。生きている時、死について語られることが少なく、縁起が悪いからです。もし、中国で同じようにポストで葬儀社の広告のことがあったとすると、いたずらとして扱われるかもしれません。今は時間が経ち、偶然郵便局のロビーのスペースに葬儀の業務を宣伝するパンフレットやチラシも見ても、もう慣れて全く動じないです。


陳麗娟さん
郵便局にある葬儀関係の広告

個人の感覚ですが、日本の人たちはどうも、死に対して、あまり恐れず、人生や生活の一部として柔軟に受け入れているように見えます。しかし、それはなぜでしょうか。ここで私は二つの推測をしました。一つ目は、生活する環境の影響です。日本は災害が多い国で、地震、火山噴火、台風、津波などの自然災害が多発しています。このような自然環境により、死は誰に訪れてもおかしくないため、死を自然の流れとして受け止める価値観が育ったと考えます。また、高齢化社会がもう一つの推測です。日本は高齢化社会で、死亡者の数が高齢化に合わせてどんどん高まっていく状態にあります。人は幼少期、青春期、成年期、壮年期、老年期を生きて、各段階で死に対する感覚がだんだん深くなります。老年期段階の人口が多い社会なので、死に対する理解が深いのではないでしょうか。
 
葬儀は、死亡の儀式というよりも、生命の儀式に近いと考えます。日本の葬儀事情から日本国民の死生観に対する認識が垣間見えます。





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