曽 明樺さん (マレーシア出身) 
(株式会社ファナティック) 


就職活動は中小企業が鍵
10年後に成長出来るチャンスを

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――現在の業務内容は何ですか。
 当社はインターネットサービスを支えるサーバーなど、ハードウェア製品の設計・開発・製造・販売や、これらを使ったソリューションサービス事業を行っています。
 例えば、コスト削減のために従来のソフトウェアのままで最新のハードウェア製品を利用したいという企業様のご要望に応えています。当社オンリーワンの技術が売りで、多くのお客様にご利用頂いています。私は入社1年目でサーバーの部品購買を担当しており、主に米国と台湾から仕入れを行っています。英語・中国語という語学力を活かせることにやりがいを感じます。

――なぜファナティックで働こうと思ったのですか。
 専門性もそうですが、一番の要因は当社の「全従業員が良心を結合し共に物心両面の幸福を実現する」という理念に共感したからです。社長が稲盛和夫氏を尊敬しており、稲盛氏の経営哲学を中心に社員一丸となって働いています。
 私自身、稲盛氏の「思考×熱意×能力=仕事の成果」という考え方を非常に重視しています。熱意と能力はそれぞれ0~100点まであり、能力が劣っている人であったとしても、強い熱意を掛け合わせることで素晴らしい結果を生み出すことが出来ます。ですが、思考とは人間としての生きる姿勢であり、マイナス100点~プラス100点まであります。熱意と能力が100点であったとしても、思考がマイナスであれば、全てがマイナス方向に働いてしまいます。熱意と能力が高いぶんより悪い結果になってしまうのです。素晴らしい考え方を持つかどうかで人生が大きく変わることが分かります。

――なるほど。日本で働いて苦労したことは何ですか。
 敬語をはじめ最初は日本文化に戸惑うことが多かったです。
 例えば、海外に比べ日本はより円滑に物事を進めるようとする傾向があります。入社当初から海外のスタイルで上司に対し「このシステムは変えるべきです!」といった提案を多くしていましたが、なかなか上手くいかないことがありました。ですが、時間が経つにつれなぜ現在の形になっているのかという意義を理解でき、自分の考えは早計であったと気付かされました。素直に話を受け入れていればより早く成長できたと感じ、まずは日本企業・社会を自分のものにしようと思いました。

――日本で就職を希望する留学生へのアドバイスを。
 留学生にぜひ伝えたいことは、中小企業が鍵になるということです。私は大企業を狙わず中小企業を中心に就職活動を行っていました。中小企業ならば早くから重要な責任を任され経験を積むことが出来ると考えたからです。
 実は、日本人の友人達に「初任給が低い大企業と初任給から高い中小企業だとどちらに就職したいか?」と質問したことがあります。皆一様に安定性を重視して「大企業だ」と答えました。安定志向が優秀な人材がなかなか中小企業に就職しない原因なのだと感じました。
 ですが、独自の強みを持ち成長性の高い中小企業はたくさんありますし、当社には大企業から転職された先輩が何人もいます。また、優良企業でありながら人材が不足して海外進出を足踏みしているという状況も実際にあります。留学生はぜひそこに目を向けてみて下さい。私は唯一の外国人社員で、社長から「シンガポール市場を開拓してほしい」と非常に期待して頂いています。安定ももちろん重要ですが、5年後、10年後に自分がどれだけ成長できるチャンスがあるかを考えてみるのも良いのではないでしょうか。


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