ウグルウ・バルカンさん (トルコ出身)
(横浜国立大学 大学院工学府)
ロボット研究で日本は世界一 現代最高の技術の塊、広く応用
――日本留学してみて分かったことは。
私はヒューマノイドロボットの電子制御、具体的には「走れるロボット」について研究しています。ロボット研究で日本は世界一の環境ですので、日本留学して成果が出せなかったとしても言い訳することができません。すべて自分の責任ですので精神的にも良い訓練になると思います。また、当然ですが研究室にロボットがあるということは重要です。博士課程は国際学会での論文発表が無ければ卒業できませんが、シミュレーションだけでは時として論文は落とされますので、実物で実験できることの意義は大きいのです。
今年イタリアでロボット制御の学会があったのですが、来ていた8割は日本人なのに、皆英語で話していて不思議な雰囲気でした。ロボット研究は日本の最大の強みでしょう。
日本は少子高齢化社会の進展を見据えて大きな予算を投入し、最先端のヒューマノイドロボット技術を作り上げました。しかしトルコではヒューマノイドロボットはあまり必要とされないと思います。ならばなぜ私が研究しているかというと、それが不安定なものを制御するための最も高度な技術の塊だからであり、マスターすれば他のものにも広く応用できるからです。
ロボットが転んでも自分で起き上がるのは、重心の位置などを自分で計算しているからです。その意味でロボット技術とは地道な計算の積み重ねであり、私が最初にロボットを動かすまでには2年もかかりました。実験結果を出すにはタフさが必要です。
私は卒業後は5年ぐらい日本企業で働いて経験を積み、その後トルコに帰って教員になりたいと考えています。ヒューマノイドロボットにはマイコンやモーター、半導体など現代最高の技術が結晶しています。もしトルコで国産ヒューマノイドロボットの開発に成功すれば、トルコ人は科学技術における自信を取り戻し、社会に良い循環が生まれるに違いないと思っています。