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グェン ミン ドゥックさん(ベトナム出身)
(株式会社VTECHMATE代表取締役)
留学生の気持ち、理解して活用を
海外とのやり取りに最大の強み
――在日留学生の就職について。
最近では日本の多くの企業が人材不足の問題に直面しており、留学生の就職に関しても売り手市場となる傾向がありますが、それでもやはり就職できない場合があるようです。私は会社を興してから、取引先企業や知り合いなどから「留学生を紹介してくれないか」と依頼を受けることがありますが、求める人材像にマッチする学生が来ずに困っている企業は多いのです。しかし留学生から見ると、自分がしたいことをさせてくれる企業がないと思う人が多く、要するにマッチングがうまくいっていないのです。
留学生が普通の日本人と全く同じキャリアを積みたいのであれば、入社後は日本人と同様の新入社員研修を受ける必要がありますが、将来母国に帰って日本の橋渡しとなるような仕事をしたいのであれば違う道を歩むべきだと思います。多様なキャリアパスを用意している企業も多いので、そういうところを重点的に当ってみたら良いと思います。面接で「何年か先には母国に行く」と言っても受け入れてくれるような企業を探すべきです。特にベトナム人留学生の場合は将来的には母国に帰って貢献したいという人が多いと思いますので、日本企業に入っても「勉強させていただく」という気持ちが強いと思います。日本企業はまずそういう彼らの思いを理解しなければ、留学生人材を活用し切ることは難しいでしょう。留学生を日本人だと思って採用するとなかなかうまくいきません。留学生はあくまで留学生として採用するべきなのです。
留学生にとっては、その会社が海外に展開するかどうかで、かなり将来の展望が変わってきます。留学生が一番能力を発揮できるのはやはり海外とのつながりのある仕事です。もともと海外進出の予定のない企業に就職した場合は、本来持っている人材としての強みを発揮できません。一般の日本人と何も差別化できない所でわざわざ仕事をすることになるわけですから、普通の日本人より倍以上努力しないとうまくいかないでしょう。
――留学生の強みとは何であり。それをどのように生かしていくべきですか。
日本では外国人は目立ちますので、海外とのコネクションや、外国人ならではの仕事の進め方に期待して関心を寄せてくれる日本人は多いです。この点をうまく活用し、多くの方に自分のことを覚えてもらうことができれば、それがビジネスチャンスにつながります。
日本人から留学生を見ると日本に来る前に10年以上外国に住んでいた経験があるわけですから、それを差別化のポイントとして活用すべきです。留学生は第三国に出向せよといわれても違和感なく対応できる人が多いです。会社としてはそういう人がいると非常にありがたいと思います。逆に言えば、企業がそういう留学生の活用の仕方を知らないのでミスマッチになるのです。
自分の能力を活かせる企業が見つからない場合は無理して日本に居続ける必要はありません。先進国である日本で学んだことはかなりレベルが高いので、それをそのまま母国にもって帰ってもビジネスになる場合は多いと思います。ぜひ日本での経験を生かして、自ら新天地を開拓していってほしいと思います。
グェン ミン ドゥック
1992年、日本政府国費留学生として来日。電気通信大学電子工学科、東京大学大学院電子工学修士課程卒業後、2000年に㈱東芝セミコンダクター社に入社。2004年に大学時代の後輩ホー氏と共同で㈱VTECHMATEを創業。同年11月29日に川崎市のアジア起業家村に第一号企業として入居。