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ムラット・カラデニズさん(トルコ)
(NTTドコモ株式会社)
外国人社員への配慮が必要
心通じる仲間を作ることが大事
――日本で働く中で気づいたことはありますか。
日本の多くの企業では、まだ外国人を受け入れる準備ができていないと思います。留学生の場合は内定後、ビザの変更申請のために法務省や外務省等にさまざまな書類を提出することが必要で、就職先の会社に行って書類の準備等を頼まなければならないのですが、それをスムーズに行う体制が整っていません。
また、外国人なら困るであろう事柄にあまり気付いていません。例えば日本ではお盆休みがありますが、ブラジル人の社員が帰省しようと思ったら片道だけで30時間以上かかります。その人に日本人と同じ程度の休日を与えても現地で滞在できる時間は短くなってしまいますので、何らかの配慮が必要だと思います。さらに、外国人社員が連れてきた家族への配慮も必要です。奥さんと子供にストレスがたまると、社員は大きな影響を受けて仕事ができなくなってしまいます。日本は家庭より仕事を大事にしている人も多いのですが、例えば単身赴任などはトルコ人の私からすれば考えられないことです。外国人の家族の受け入れ問題は、政府もよく考えて対策を講じなければならないでしょう。
あと、日本社会はなかなか変えられない社会です。特に大企業の場合、社内の慣行を変えることは簡単ではありません。物事が決まるまでのスピードが遅く時間がもったいないと思います。しかしそれをいくらおかしいと思っても、最初から「こんなことをしても意味がないから私が言ったとおりにしましょう」などと言うのでは誰も従いません。おかしいと思いながらも従い、「一方でこのようにもできますので皆さん考えてみませんか」と問題解決の筋道を提示し、その上で自分でやって結果を出すのが一番良いと思います。
――就職活動する上で気をつけるべきことは。
ローマに行ったらローマ人にならないといけません。例えば履歴書を日本語で書かなければならない会社であればその通りにしなければなりません。また、11月という遅い時期になって雑誌で求人を見つけ、応募し採用された外国人の友人もいますので、様々な媒体を見て根気よく情報収集に努めるべきです。
内定後には、今後自分がどういうふうに生活したいのか考えておく必要があります。日本企業は残業も多く、安い給料で多くの仕事をしなければならない場合もあります。入社後のライフスタイルについても考えてみなければなりません。
人生は一回きりですから、仕事も遊びも楽しんでできるようにしたほうがいいと思います。苦労しすぎて体を壊すのは一番怖いですから、休めるときは休んだほうがいいです。何か問題があったら誰か相談できる人を見つけて相談し、一人ですべてやってしまおうと思わないことですね。
職場では心の通じる仲間を作るのが一番大事なことです。日本人の友達を作るのは難しいですが、絶対あきらめないでほしいです。コミュニケーションはまず相手のことを理解し、相手の意見を受けることから始まると思うのです。日本人の友達を作りたければ、「なぜこうなんだ」と疑問で終わっているだけでは先に進みません。理解できないルールがあってもそれをいったん受け止め、「この人は私のことを理解し尊敬している」と思われれば、何らかの道は開けると思います。