Top向学新聞今月の人李 賢情さん
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李 賢情さん (韓国出身) 
(東京大学大学院医学系研究科博士課程) 


高齢者の社会参加について研究  外国人介護士受入れには教育必要

――李さんの研究について教えてください。
  私は、高齢者がどうすればもっと元気で寝たきりにならずに生きられるかという観点から、退職した高齢者の社会参加を進めるための研究を行っています。高齢者は実際に何らかの社会活動をしているほうが健康を維持できます。外に出て手足を動かし、いろいろな人と接触すること、特にボランティア活動の効果は大きいと言われています。健康を保つには、このような「予防」が一番大事なのです。
  高齢者福祉の研究では日本が非常に進んでおり、韓国でも日本の知識が役に立ってくると思います。韓国の出生率は日本より低く、高齢化も日本より急激に進んでいます。いま介護保険のようなものを作ろうと取り組んではいるようですが、財政面で大きな困難を抱えています。日本の介護保険も財政面で破綻しました。それで韓国としても予防的な方法を考えはじめています。60歳を過ぎても元気でいられれば、介護施設に入る必要も減るだろうというわけです。

――日本では少子高齢化対策として、外国人の介護士を活用していこうとする動きがあるようです。
  私は母国で看護士をしていた経験があるのですが、それには少し違和感を感じます。たとえば韓国の老人は「私はこんなに年をとっているから助けてくれ」と正直に言い、地下鉄で席を譲られれば素直に感謝します。しかし日本の老人は自分が年を取っていることに対して抵抗感があるようで、席を譲られても「私はそんな年ではないから」と断るのです。私は最初これに非常にショックを受けました。こちらは親切な気持ちで「やってあげたい」と思っているのに「まだ大丈夫だからそういうことはいやだ」というのです。また、韓国の病院で働いていたとき、おばあさんの手を握って「大丈夫だよ」と言ったりしましたが、日本人はそのようなスキンシップがあまり好きではないようで、「私が元気でいる限り手助けはいらない」と言う方もかなりいます。ですから外国人の介護士を受け入れたりしても、老人が病気で本当に困っているとき以外はけっこう難しいかもしれません。
  あと、日本語は言葉として非常にあいまいな側面を持っています。「いいです」という言葉は、受け入れるときにも拒絶するときにも使いますが、どちらなのかは外国人には非常にわかりづらいです。
  看護や介護の分野でこそ日本人のことをよく理解している人が必要です。外国人介護士を受け入れるのであれば、しっかりと語学を勉強させて、教育してから仕事をしてもらったほうがいいと思います。