洪 來完さん (韓国出身)
(駒澤大学経済学部4年・在日韓国留学生連合会会長)
韓国の社会風土変えたい 日本はもっと留学生の活用を
――洪さんの将来の目標について聞かせてください。
私は将来、人材コンサルティング業を始めたいです。例えば会社には様々な部署と人材が存在しますが、営業なり経理に本当に向いているから現在の部署にいるとは限りません。ですから心理面も含めてその人を把握し、一番能力を発揮できる仕事を探し出せるようなコンサルティングをしたいのです。
私が韓国で高校卒業後働いていたとき、実績を上げてもたまたまうまくできたという評価しかされなかったことがありました。普通韓国では、大卒と高卒の社員がいたら、大卒に仕事を優先して回し、うまくいかなかったら高卒にまわします。しかし大卒だからその仕事に向いているとは限りません。ある程度成績は出すかもしれませんが、本当の成長はないでしょう。教育し、心理的な面も考え、学歴に関係なくその人の本当の適性を引き出して活用することが必要なのです。そうすることで韓国の社会風土を変えていきたいというのが、人材コンサルティング業を始めようと思った動機です。
ところで日本には韓国の留学生・就学生が2万人以上います。日本は国として彼ら外国人人材が能力を発揮する場面をもっと作らないといけないと思います。日本は今出生率が1・29ですから、若者人口が減ってきてどんどん労働人口も少なくなります。早く政策を変えないとこれから3Dといわれるような大変な仕事をする人がいなくなり、経済の空洞化が生じてきてしまいます。外国人労働者を入れていかないと今後はやっていけないでしょう。
私は日本に6年いますから、日本人の言うことのニュアンスも分ります。私の同期が就職した韓国の日系企業には日本で語学研修だけした韓国人が多くいますが、彼らは日本人のニュアンスを理解できず、韓国企業との取引で日本人の上司たちの通訳をしても間違っていることもあるそうです。取引で一つ間違えば大事になるのですが間違えていることも分りません。1~2年では日本人のニュアンスは理解できないのです。しかし日本に来て5~6年経ち、アルバイトで日本人と毎日接しているような人なら、日本人のニュアンスははっきりわかります。そういう人たちがこれまで日本で経験したこと、学んだことを活かす場所があまりないのは日本としても損だと思います。彼らが日本で活躍できればさらに日韓関係も友好的になり良くなると思うのです。今はまだいませんが、政治家の秘書となる外国人もそのうち登場すべきでしょう。
政府の留学生受け入れ10万人という目標は去年達成されましたが、これからはただ支援として留学生を受け入れて勉強が終わったら母国に返すのではなく、日本でどう活かすかを政策的に考えていくべきではないでしょうか。