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政府、高度人材受入に本腰
(2009年1月号) 


産官学労が連携し環境整備  企業の外国人活用に課題も
高度人材受入推進会議発足

  政府は12月2日、「高度人材受入推進会議」の初会合を開き、留学生をはじめとする外国人高度人材の活用促進についての議論を始めた。産官学労が連携し、外国人の能力に見合った高い処遇での人材誘致や、企業の幹部・基幹業務への登用、生活環境の整備などを早急に進める。今後、月に1~2回会議を開いて数値目標や必要な施策について検討し、2009年6月をめどに報告書(案)を作成する。

  同会議は、海外からの高度人材受け入れを国家的戦略として位置づける「経済財政改革の基本方針」(骨太2008)にもとづいて開催された。背景には、日本の高度人材受入れの現状に対する危機感がある。
  国際的な人材獲得競争が激化する中、日本への高度人材の流入は諸外国と比較して低水準にとどまっている。OECD(経済開発協力機構)の2001年の調査では、高等教育修了者のうち海外から流入した人材の割合はカナダやニュージーランドで15%を超えていたのに対し、日本は1%以下だった。また、スイスの国際経営開発研究所(IMD)が各国の企業経営者等を対象に2008年に行った調査によれば、高度人材からみた労働市場の魅力が最も高かったのはスイスで8・97ポイント。日本は4・18ポイントの42位で、18位の中国と32位の韓国を下回った。いっぽう、経済産業省の調査によれば、中間管理層の人材を日本人だけではまかなえないと認識している日本企業は半数を超えており、外国人材への需要を抱えていることもわかった。これら結果から、高度人材受け入れに関して日本は「国際的な人材のミスマッチ」ともいえる状況下にあることがうかがえる。
  また、日本企業の側の課題もある。厚生労働省が2008年に一部上場企業の本社を対象に行ったアンケート調査によると、外国人社員を活用している企業は5割強で、これまで一度も活用したことがないという企業が4割弱、1社平均でみた外国人社員の比率は0・26%にすぎなかった。外国人社員を活用する理由は、「国籍に関係なく優秀な人材を確保するため(88・9%)」、「海外との取引が増えてきたため(41・9%)」などの理由が多く、「外国人ならではの技術や発想を取り入れるため」という回答は13・7%と少なかった。外国人管理職の割合はわずか5・8%にとどまっていた。
  また、独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)が2008年に行った「日本企業における留学生の就労に関する調査」によると、留学生が定着促進のために要望する施策としては「日本人社員の異文化への理解度を高める(64・9%)」「外国人向けの研修を実施する(40・5%)」「短期間でもキャリア形成できる多様なコースを設置する(31・1%)」が上位だったが、それぞれに対する企業側の回答は14・7%、4・4%、2・8%と低く、認識のギャップがあることが明らかになった。留学生が日本企業への就職を勧めたくない理由としては、「外国人が出世するのには限界があるように見えるから」が73・1%、「異文化を受け入れない場合が多い」が61・9%にのぼった。
  これら結果から浮かび上がってくるのは、多様性を尊重しつつ外国人材ならではの発想力・企画力を活かして新たなイノベーションを創出するというよりも、むしろ国内や社内に外国人材がいながら活かし切れていないという日本企業の姿だ。JILPT主任調査員の郡司正人氏は「(外国人材への)特別なケアの実施にまだまだ努力の余地がある」としている。
  このような現状を受け、政府も国内の態勢整備に本腰を入れ始めた。高度人材受入推進会議で引き続き議論を重ね、外国人材の企業幹部への登用拡大や、永住資格付与の促進策などについて検討していく。さらに、厚生労働省でも来年度以降、外国人の雇用が進むよう企業にアピールする事業を、新規で始める予定だ。