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留学・就学、一年内に一本化
改正出入国管理法が成立 (法務省入国管理局)
留学の在留期間は4年3月に
外国人情報の一元管理などを盛り込んだ改正出入国管理法(以下「改正法」)が第171回通常国会において成立し、7月15日に公布された。入国管理局による在留カードの交付等により、一元的な在留管理制度を導入。「留学」と「就学」の在留資格の一本化や、研修・技能実習制度の見直しも行う。日本の在留制度の大きな転換点ともなる内容で、従来の外国人登録制度は廃止される。今後最長でも3年以内には順次実施していく。
改正法の対象となるのは、「技術」「人文知識・国際業務」などの就労資格で働いている外国人や、「留学」などの学ぶ資格で学校に通っている留学生、「日本人の配偶者」などの中長期的な滞在者だ。観光目的や興行目的の短期滞在者は含まれない。
制度の主な変更点は、まず、氏名や住所、在留資格などが明示された「在留カード」が入国時に入管から発行され、常時携帯が義務付けられる。
これまで外国人の在留管理は、入国管理局と市区町村によって二元的に処理されていて、在留資格、在留期間等の最新情報は、外国人本人が市区町村に申請しない限り把握できなかった。そのため不法滞在者にも外国人登録証が交付され、口座開設や携帯電話の購入等に身分証として使われる問題が発生している。今後は法務省入国管理局が出入国管理から在留管理まで一元的に行い、適法な滞在者にのみ在留カードを交付するシステムが整備される。
所属機関の変更届出は外国人本人が地方入国管理局に赴かなければならないが、インターネットや郵送による届け出の方法も検討している。また、居住地を決定または移転した場合は市区町村に届け出る必要があるが、代理人や使者による届け出も認める予定だ。
在留カードは、新制度施行後の新規入国者と、在留期間更新や在留資格変更等を行った外国人に順次交付される。施行前から在留している外国人は、現在持っている外国人登録証明書と引換えに地方入管局で在留カードを受け取ることになる。
現在約43万人いる在日韓国・朝鮮人などの特別永住者には新たな身分証明書として「特別永住者証明書」を交付し、これについては常時携帯の義務はない。
もう一つの大きな変更点としては、在留資格「留学」と「就学」が一年以内に「留学」に一本化される。「就学」の在留資格を持つ学生は法律の施行後、活動内容に変更がなければ「留学」に変更する必要はない。
「留学」の在留期間については、2009年7月1日から在留期間の最長期間が「2年3月」となっているが、大学等における教育期間を考慮し、新たに「4年3月」となる予定だ。その他、現在、在留期間の上限が3年の在留資格については5年に延長する。
さらに、在留カードを持つ外国人が出国後1年以内に再入国する場合には、再入国許可を受ける必要がなくなる。各種の許可手続のために書類をそろえたり、入国管理局を訪れる負担が大幅に緩和されるメリットがある。
政府の高度人材受入推進会議などにおいて「低賃金労働の温床」という批判もあった「研修・技能実習制度」については新たに「技能実習」の在留資格を創設し、低賃金労働を課されないようにする。現在、研修生・技能実習生はもっぱら就労を目的としない「特定活動」の資格で在留しており、法的保護が弱い立場にあった。今回の法改正により実務研修(OJT)は雇用契約を結ぶことが義務づけられ、入国2ヶ月目から労働基準法、最低賃金法等の労働関係法令等が適用されるようになる。この措置は1年以内に施行される。
森英介法務大臣は、「長い入管法の歴史の中で最も大きな改正である入管法の改正法案が可決・成立したことは大変喜ばしいこと。3年後の施行に向けて円滑な制度移行に取り組んでいくことが重要」だと述べている。
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