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向学新聞2010年11月号記事より>


外国人への規制緩和求める

日本経団連
 

産業創出にモデル都市構築   専門学校留学生の就職促進を

 社団法人日本経済団体連合会(日本経団連)は10月21日、「未来都市モデルプロジェクト構想」を政府の国家戦略室に提出した。同構想は、民間主導による成長モデルを構築するため、複数の都市で企業等が環境・医療・交通など先端技術の実証実験を行おうというものだ。教育・子育てなど社会システムの変革も含めたモデル都市を構築することで、新たな成長産業の創出を目指す。この計画を実現するため、規制・制度の特例措置や支援措置を講ずるよう政府に求めている。

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 未来都市モデルプロジェクト構想では先進医療・介護、子育て支援・先進教育など8分野を想定。教育分野においては、外国人教員や優秀な留学生の受け入れ、海外教育機関との国際連携、外国人労働者の受入れなどを政策課題として指摘した。これらの解決策として、外国人教員に関わる資格要件の緩和や、優秀な留学生に対する奨学金の拡充、保育分野の外国人材の受入れなどを提示している。

 日本経団連ではこのほか、10月14日に発表した「2010年度規制改革要望」の中でも外国人材分野の規制改革を提言している。

 まず、ポイント制を活用した外国人高度人材の優遇制度については、次期通常国会に関連法案を提出し2010年度中に実施するよう求めている。優遇措置の内容については、①在留5年での永住権の付与②在留期間の上限の伸長③配偶者の就労を可能とする措置④家事使用人の帯同や親等の親族の長期滞在を可能とする措置―等を盛り込むよう促している。

 また、現在、専門学校留学生は「専門士」の取得直後に在留資格変更の申請を行えば日本で就労可能だが、帰国した場合は新たに就労のための在留資格は得られない。そこで、専門士を取得後いったん母国等で就労していた元留学生についても、日本に戻って就労できるよう、在留資格取得要件を緩和するよう求めている。2010年度中にも結論を得て、早期に措置すべきだとしている。

 さらに、年金脱退一時金制度の見直しを求めている。現行制度では、外国人が帰国する場合に返還される一時金の額は36か月で固定され、それ以降は納付しても保険料は掛け捨てになる。これが高度人材が帰国を考える一つの契機となっていたことから、年金制度全体の改革に先立ち見直しに着手すべきだとしている。

 政府は新成長戦略の実現に向けて「日本を元気にする規制改革100」を掲げて検討を進めているが、日本経団連の要望はこうした改革案の更なる前倒しや内容の充実を求めるものだ。

 また、政府は規制改革とあわせて「21の国家戦略プロジェクト」を掲げ、府省の壁を乗り越えた推進体制を構築しようとしている。外務省や国際交流基金による海外日本語教育の強化や、厚生労働省による、企業における高度外国人材活用のためのマニュアルの作成・普及、外国人医師・看護師の臨床修練制度の見直しなどに着手している。これらのプロジェクトについては年内の工程表を定めるなど取り組みを加速させている。

 菅首相は10月8日の新成長戦略実現会議で、規制・制度改革について全府省をあげて大胆な検討を進めていくよう指示している。



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