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向学新聞2011年5月号記事より>


留学生の入国、4月に増加

法務省入国管理局
 

震災前後の出入国者数を発表 新学期の開始時期にずれも

 法務省入国管理局は4月15日、東日本大震災前後の外国人出入国者数を発表した。震災直前の1週間は出国者が14万人だったが、震災直後の1週間は24万4千人へと急増した。その後出国ラッシュは沈静化をたどり、4月2日から8日までの1週間では震災前の半数以下となっている。入国者数については、震災直前の1週間の入国者が15万7千人だったが、震災直後には5万8千人に急減。その後4月に入って10万6千人まで回復している。

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 統計は、3月5日から4月8日までの間の1週間ごとに外国人出入国者数をまとめたもので、東日本大震災前後の出国や再入国の動きが捉えられている。全期間の出国者の総数は67万1154人。震災直後の3月12日~18日に出国した24万4千人のうち再入国許可を取得していたのは約半数の12万人で、その多くは留学生や外国人労働者、その家族と見られる。

 3月12日~18日の出国者を国籍別に見ると、中国が最も多く約7万人、ついで韓国の約5万人、アメリカ約2万人となっている。

 留学生の出国者数の変化を見ると、3月11日までの1週間が6025人だったのに対し、震災以降の1週間では3万3163人とそれまでの5倍強が出国している。さらに次週にも2万6702人が出国した。しかし3月26日以降は通常の落ち着きを取り戻し、4月2日から8日までの出国者は震災前より少なくなっている。

 いっぽう留学生の入国者数については、震災前の1週間に入国した留学生は5996人、震災後の1週間には3千人台にまで落ち込んだが、新学期を控えた3月26日以降の1週間では1万6781人が入国。4月2日から8日までにはさらに多い2万2022人が入国し、大きく持ち直している。

 前年との比較では、2010年3月の1ヶ月間には在留資格「留学」と「就学」あわせて4万6211人が入国した。今回発表の法務省統計は3月5日から4月8日までと多少の時期のずれはあるものの、在留資格「留学」の入国者は5万3900人と、昨年3月よりも多くなっている(在留資格「就学」は昨年7月に「留学」に一本化された)。今年の入国者の中には、震災という非常事態ゆえにやむを得ず出国し、再度戻ってきた留学生も多数含まれていると考えられる。いっぽうの出国者総数(留学)は7万6195人と、入国者の総数より2万人以上多い。

 東北の被災地や関東では、4月中旬以降にオリエンテーションを行ったり、5月のゴールデンウィーク以降から授業を開始する大学がある。通常とは異なり、再入国の時期にずれが生じていることから、大震災を機に帰国した留学生のうち最終的に何割程度が日本に戻るのか統計からは一概には断定できない状況だ。

 就労者の在留資格については、「人文知識・国際業務」の出国者総数が2万5403人に対して入国者総数は1万7792人だった。「技術」については、出国者総数1万5569人に対して入国者総数が1万215人と、やはり出国者のほうが多くなっている。期間別で見ると、いずれも4月1日前の1週間における入国者が最も多くなっており、新年度の開始に合わせて来日した者が多いことが伺われる。留学生において見られたような4月2日以降の入国者の伸びは、就労者については見られなかった。

 今後は国を挙げた復興に向けて、高度人材の優れたパワーをよりいっそう取り込むための労働環境の整備や、危機管理体制の構築が日本の各企業には求められている。



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