<向学新聞2011年6月号記事より>
留学生を全国の観光地へ派遣
観光庁
訪日観光客数の回復狙う 外国人の目線で魅力発信
国土交通省観光庁は5月20日、日本在住の外国人留学生等1100人を「受入環境整備サポーター」として、日本全国の観光地へ派遣することを発表した。派遣先の観光地の魅力や、安全性を母国に向けて情報発信してもらい、風評被害の払しょくと訪日外国人数の回復を狙う。
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観光庁の発表によれば、日本在住の外国人留学生等を、「受入環境整備サポーター」として観光地へ派遣する予定。留学生らにリポーターとなってもらいブログ、ツイッター等のSNSや動画サイト「ユーチューブ」等を使って、滞在した観光地の状況を母国をはじめ世界各地に向けて情報発信する。
2011年4月の訪日観光客数は29万5800人(日本政府観光局算出)で、前年同月比49万2400人減、62・5%減となり、一か月間の減少幅としては、過去50年間で最大となった。例年4月は、「日本への桜鑑賞旅行」が世界的に人気を集めているが、今年4月はこの需要を取り込むことができなかった。また近年人気を集めている中国から九州の観光地への4月分のクルーズ旅行が震災の影響により取り消されるなど、観光業への風評被害が深刻になった。
そのような中、日本在住の留学生等が外国人旅行者数の増加にむけ、東北地方青森の十和田湖、盛岡の八幡平、福島の会津・米沢をはじめ北海道から沖縄まで派遣される。情報の発信だけではなく、外国人の目線で地域の観光資源の魅力を発掘するとともに、受入環境の確認や、改善策を提案してもらい、留学生と観光地とをネットワーク化し、留学生によるサポーター体制を構築する。観光地への交通費を、各地方の運輸局を通し、国の予算の中から支給する。募集方法については、地域に合った方法を検討中。
また、最近日本の遺産が世界遺産として新たに登録されることとなり、観光業復興に向けて追い風となった。5月7日、環境省、文化庁の発表によると、中尊寺などがある平泉町(岩手県)、小笠原諸島(東京都小笠原村)の二遺産が世界遺産として登録される見通しとなり、6月にパリで開催される世界遺産委員会で登録が正式に決定されれば、平泉町は日本で12番目の文化遺産、小笠原諸島は4番目の自然遺産となる。
世界から日本の観光地の魅力を発信する動きもある。5月11日には、日本に関する旅行ガイド「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」改訂第2版の掲載地が5月13日のフランスでの発売に先駆けて発表された。新たに、熊野古道(熊野三山、那智の滝、熊野本宮大社)、知床国立公園、摩周湖、阿寒湖が、「わざわざ旅行する価値がある」ことを意味する三つ星となった。観光地の多くは、「震災前と変わらない魅力と平穏さを保っている」と、日本ミシュランタイヤ株式会社代表取締役社長のベルナール・デルマス氏は述べている。
外国人観光客数の回復と観光地域の更なる魅力発信に向けて、留学生の活躍が期待される。
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