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向学新聞2012年6月号


産学協働人財育成円卓会議

                 リーダー育成のアクションプラン

 株式会社日立製作所や株式会社三井住友銀行をはじめとする企業20社と、東京大学などの12大学が昨年7月に設立した「産学協働人財育成円卓会議」が5月7日、世界を舞台に活躍し、イノベーションを創出するリーダー育成のためのアクションプランをまとめ、公表した。
 海外留学経験者への就職説明会、面接会の機会を拡充することで、日本の若者が積極的に海外留学する環境づくりを目指す。また、外国人留学生の受入れ支援体制の強化、受入れ拡大なども盛り込まれている。円卓会議に参加した20企業、12大学は今後、アクションプランに取り組んでいく。
 同円卓会議は、昨年7月に一回目の会議を開き、勉強会を重ね、率直に意見を交換してきた。アクションプランの策定にあたって企業から大学へ、英語でのディベートの必須化を求める声や、外国人留学生へのキャリア教育が不十分であるとの意見があった。大学から企業へも、海外経験や国際通用力を重視する姿勢を採用で打ち出してほしいという意見があった。学生が就職活動に遅れをとることを懸念して留学を避ける傾向があるが、その背景には通年採用が増加している実態を学生に伝えても、なかなか信じてもらえない現状があることが明らかになった。
 また、国際社会ではドクターホルダーが数多く活躍しているが、企業から博士人材に対して、専門性が浅いことがあるといった厳しい意見があった。しかし大学側からは、日本の企業は博士人材の活用に消極的で、十分な活躍の場がないため、優秀な人材が博士課程に進学しない悪循環が生じていると指摘した。
 アクションプラン策定のため企業と大学が活発な議論を交わすことで、企業から「大学改革が行われていることを意外に知らないことが分かった」という声も上がり、お互いの意見のギャップがありつつも、相互理解が深まった。円卓会議は今後も、プランの進展状況の共有や、取組みを社会に広く発信し、社会全体で人材育成に取り組んでいくよう働きかけていく。



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