<向学新聞2012年10月号記事より>
アセアンの大学と連合形成
架け橋となるエキスパート人材育成
文部科学省事業14件採択
日本とアセアン諸国の大学でコンソーシアムを形成し、単位の相互認定や質保証を伴う交流事業14件が文部科学省により採択された。9月24日に文科省が発表。日本人学生の留学、外国人留学生の受入れも行われ、日本と成長著しいアセアンとの連携の深まりが期待される。事業期間は最大5年間で、一件あたり最大6千万円(年間)が補助される。
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東京大学は、チュラロンコン大学(タイ)、インドネシア大学などと、アジア都市環境保健学際コンソーシアムを形成する。京都大学はブルネイ・ダルサラーム大学、王立プノンペン大学(カンボジア)、ラオス国立大学、フィリピン大学などとコンソーシアムを形成し、「人間の安全保障」開発を目指し日アセアン双方向で人材を育成する。その他にも、神戸大学、愛媛大学、九州大学、慶應義塾大学などが医学・保健学、地球資源工学、農山漁村分野などそれぞれの特色を活かし、アセアン諸国の大学と協働する。
交流プログラムには、大学間の質保証などを伴いながら、日本とアセアンの架け橋となるエキスパート人材育成を目指す事業も盛り込まれた。日本人学生は留学先の言語や文化を学習するだけではなく、現地の学校などで日本語指導支援や日本文化の紹介活動も行う。
名古屋大学は、シンガポール国立大学、ハノイ法科大学(ベトナム)、王立法経大学(カンボジア)などと、アセアン地域発展のための次世代国際協力リーダー育成プログラムに取り組む。日本語教育学プログラムを通じて人材育成を行う早稲田大学の他に、千葉大学や京都大学なども独自の事業を実施する。
また、文科省は同日、世界を舞台に活躍する人材育成のための拠点大学に、42校の国公私立大学を採択したと発表した。大学のグローバル化や教員のグローバル教育力の向上、日本人学生の留学促進のための環境整備に取り組む大学に対して、最高2億6千万円を補助する。支援期間は最大5年間となる。
大学全体のグローバル化に取り組む全学推進型に採択されたのは、北海道大学や国際基督教大学などの11校。特定の学部・研究科でグローバル化を推進する特色型に採択されたのは、筑波大学、神戸大学、亜細亜大学などの31校となった。採択された大学はそれぞれ他大学、他学部・研究科のモデルとなり、全体のグローバル化推進を先導する役割が求められている。
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