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向学新聞2013年10月号記事より>


9地域指定、留学生受入れ戦略
 

留学生数、中国に遅れ 文部科学省検討会報告

 有識者を集めた文部科学省の検討会(主査/木村孟・東京都教育委員会委員長)が8月28日、「世界の成長を取り込むための外国人留学生の受入れ戦略」を公表した。9地域を重点地域に定め、戦略的な留学生獲得を狙う。

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 重点9地域にはアセアン、中央アジア、インド等南西アジア、ロシア及びCIS諸国、アフリカ、中東、南米、中東欧、米国が指定された。
 
 さらに、受け入れが特に期待できる分野に工学・医療・法学・農学の4つを挙げた。日本の工学・医療・農学は世界的に高い評価を得ており、留学生にとって魅力的な教育を提供できる。
 
 アジア諸国やBRICsを中心とする国々が急成長する中で、日本企業の世界進出が加速しているが、重点地域に挙げた国からの留学生受け入れはビジネスだけではなく外交、学術面などでも大きな意味を持つ。日本留学経験者が日本と海外の重要な架け橋となっているからだ。帰国後、閣僚や国会議員になるなど多数のリーダーが元日本留学生として活躍している。
 
 しかし、留学生獲得競争は熾烈化しており、日本は米国や英国等の欧米だけではなくアジアのライバルにも目を向けなければならない。
 
 2012年に日本で学ぶ外国人留学生は約13万8000人だが、2011年の中国ではその倍以上の約29万人が学んでいる。今回重点地域に定めた国・地域出身の留学生数を日中で比較しても大きな差がある。例えばインド人留学生の場合、日本で541名(2012年)が学んでいるが中国では9370名(2011年)に及ぶ。タイ人留学生は日本が2167名(2012年)で中国は1万4145名(2011年)、アフリカ諸国出身者は日本が1106名(2012年)、中国は2万744名(2011年)となっている。
 
 こういった状況を鑑み検討会は、国費留学生制度の拡充、外国語で単位・学位を取得できる環境整備、帰国留学生会等の活用に取り組み現状を打破するよう求めている。




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