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向学新聞2014年1月号記事より>


ABEイニシアティブ実施へ
 

アフリカ留学生900名受入れ 日本企業の水先案内人を育成

 独立行政法人国際協力機構(JICA)が12月5日、17日、24日、アフリカ産業人材受入れプログラムであるABEイニシアティブの実施説明会を開催した。昨年5月の第5回アフリカ開発会議で、安倍内閣総理大臣が5年で1000名のアフリカ人材を受入れると表明。JICAが実施する「修士課程およびインターンシッププログラム」で大半の900名程度を受入れる予定だ。

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 アフリカでの日本企業の水先案内人となる若手人材の育成がコンセプトの柱で、アフリカ大陸54カ国いずれかの国籍を有する22~39歳の学士号取得者が対象となる。1年~2年半程の大学院修士課程での学習とインターンシップをセットで実施する。2014年に150名、2015年に350名、2016年に300名、2017年に100名が来日。初年度は主にケニア・タンザニア・モザンビーク・南アフリカの4カ国から人材を受入れ、それ以降はアフリカ大陸54カ国に対象が広がる。原則、留学生の選定には日本企業の推薦が必要で、アフリカ現地の取引先企業や大学の若手教員、政府の若手行政官も留学が可能だ。
 
 説明会には3日間でのべ66社・団体のインターンシップ受入れを検討する企業等が参加した他、既に日本全国から58大学114研究科が留学生受入れを希望している。JICAの林伸江氏は「大学はアフリカからの留学生受入れに高い関心を示している。企業もアフリカでビジネスを展開する上で、関連セクターの人的ネットワークを築きたいという意向は強い」と話す。
 
 アフリカは豊富な資源を輸出する環境依存型経済から産業の多角化を図っているが、国際労働機関によるとアフリカの若年層(約2億人)のうち、7500万人は失業中だという。一方で、アフリカは今後の人口増に伴い10億人市場としての認識も高めている。日本企業の進出は経済振興、雇用創出を通して相互利益を生み出すことが出来る。
 
 しかし、日本学生支援機構の統計によると、日本で学ぶアフリカからの留学生は約1100名(2012年)で、総数の約0・8%にしかならない。近隣の中国では、中国高等教育学会によると大学・研究院等で2万7052名(2012年)のアフリカ留学生を受入れており、その差は24倍以上で、日本はABEイニシアティブで巻き返しを図る。




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