<向学新聞2014年4月号記事より>
モンゴル留学生700名受入れ
工学系高等教育支援事業 日本からモンゴルに円借款貸付
独立行政法人国際協力機構(JICA)は3月12日、モンゴル国政府との間で「工学系高等教育支援事業」を対象とする円借款貸付契約に調印した。貸付上限は75億3500万円となる。同事業はモンゴルの工学系人材の育成を目的としており、9年間で教員を目指す人材165名、高専・大学生など約500名以上合計700名を日本へ受け入れる。
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(写真提供/JICA)
モンゴルは鉱物資源開発を中心に著しく経済成長しており、それに伴い産業人材育成に対するニーズが高まっている。2007年から2012年の5年間で高等教育機関への入学者数は約22%増となっており、特に工学系学部への入学者は同期間で38%増と高い伸び率を見せている。しかし、高等教育へのニーズが高まる一方で、教育環境の質の向上が追いついていない課題がある。工学系高等教育機関の教員で博士号取得者は24%しかおらず、日本や先進諸国のほぼ100%と比較すると非常に少ない状況だ。今回の事業では、博士・修士課程における優秀な教員育成プログラムや学部教育の前半を母国で、後半を日本で学ぶツイニングプログラム等を実施する予定となっている。
モンゴルのノロブ・アルタンホヤグ首相は昨年9月に訪日し、安倍内閣総理大臣と会談を行った。その際「戦略的パートナーシップのための日本・モンゴル中期行動計画」を策定。工学系高等教育機関の機能強化と日本への留学を通じた産業人材育成での協力計画が盛り込まれていた。現在日本で学ぶモンゴル人留学生は約1100名と全体の1%にも満たない中、日・モンゴルの人的交流促進が期待される。
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