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向学新聞2014年5月号記事より>


留学生13万6千人で微減
 

日本学生支援機構調査 中国・韓国減少、ベトナムが増加

 独立行政法人日本学生支援機構は3月下旬、日本の大学・高等専門学校等で学ぶ外国人留学生数を公表した。2013年5月1日現在の外国人留学生数は13万5519人(前年比1・6%減)で、3年連続減少したことが分かった。

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 国籍・地域別に見ると、最も多い中国が約8万2000人(5・1%減)、続く韓国が約1万5300人(8・1%減)となったが、ベトナムは約6300人(43・8%増)と1・5倍近くの伸びを見せた。留学生が多い大学も公表され、早稲田大学の約3900人、日本経済大学の約3390人、東京大学の約2840人が上位3大学となった。日本語教育機関で学ぶ留学生3万2626人(JASSO調査)を加えると、留学生総数16万8145名で前年から約6000名強増加している。
 
 昨年6月に閣議決定された「日本再興戦略」では、2020年までに留学生30万人の受け入れを目指すと明記している。改めて留学生30万人計画実現への姿勢を鮮明にしたが、残された期間で留学生を倍増できるかは不透明だ。文部科学省は現状について、「アセアンからの留学生が増えているなど、受け入れ先が多様化している。今後は海外に拠点をもつ大学と協力して、積極的に優秀な留学生を引っ張ってくる」と話す。そのため、2014年度予算では約1億円を投じて新規事業「留学コーディネーター」をミャンマー、ロシア、アフリカの3地域に配置する。各機関の海外拠点と連携しながら現地の大学・高校とのネットワークを構築するためだ。
 
 特にミャンマーでは、既に名古屋大学が積極的な動きを展開している。法整備が課題となっている同国において、名古屋大学とヤンゴン大学が昨年7月学術交流協定を結び、ヤンゴン大学内に「ミャンマー・日本法律研究センター」を設置した。日本法の情報発信拠点として、日本人の法律専門家による講義や留学生のリクルート活動が行われている。近年、欧米諸国によるミャンマーへの経済制裁が実施されていたため、先進国では唯一日本がミャンマーからの留学生を受け入れてきた。ミャンマー政府・大学幹部の多くは日本留学経験者で、日本のプレゼンスは非常に高い。文科省と大学の現地拠点が協同することで、ミャンマーからの留学生増加が期待される。
 
 また、英語コースや海外拠点の設置、世界での日本留学フェア開催で留学生獲得に貢献した文科省事業のグローバル30(国際化拠点整備事業)が昨年度で終了した。今年度からは、留学生の派遣・受け入れ両面を推進する新規事業「スーパーグローバル大学」が採択され、世界トップ校の育成と地方大学のグローバル化を目指す30大学が選ばれる予定だ。
 
 30万人計画の実現には、留学生の受け入れ先の多様化や大学のグローバル化を進めると同時に、官学などが連携して日本を留学先として選んでもらう広報強化が欠かせない。文科省は留学生増加にむけて、「2015年度は、日本の魅力を世界へさらに伝えていく」と今後の展望を話す。




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