向学新聞2015年6月号
日本人の受入れに欧州が関心
東京・京都で欧州留学フェア
5月15日~17日にかけて明治大学と同志社大学で欧州留学フェア(主催/駐日欧州連合代表部)が開催された。オーストリア、ベルギー、フランス、ドイツ、英国など欧州10カ国以上の教育機関がブースを出展。3日間で1500名が来場して賑わいをみせた。駐日欧州連合代表部のリチャード・ケルナー氏は、「一つのイベントで15加盟国の大学や大使館の代表者と直接話せたことが来場者にとって良かったようだ」と話す。
基調講演として、欧州での留学・勤務経験のある豊田通商株式会社の足立誠一郎常勤監査役がスピーチを行ない、「世界にでれば間違いなく可能性が広がる。そのきっかけの一つが留学であり、迷わず留学してほしい」と強調した。
欧州留学経験者によるパネルディスカッションも行なわれ、イタリア、オランダ、スウェーデン、デンマークなどでの留学体験談が語られた。リヨン第三大学(フランス)に留学した早稲田大学4年生の関口さんは、「グローバル化が必要だと耳にたこができるくらい言われている。英語ができるのは当たり前で、フランス語を学ぶことで他の人よりもビジネスのチャンスを掴みたいと思った」と留学のきっかけを話した。
留学で得た成果についても焦点があたり、世界で最も刺激的なビジネススクールの一つとして注目されるデンマークの「The Kaospilots」に、初の日本人留学生として入学した大本綾さんは、「特定の教員がおらず、国内外から教員を招待して毎日違う授業が行なわれている。教員は答えを教えず、好奇心に満ちた質問を学生に投げかけることで答えを考えさせる個性重視の教育スタイルが特徴的。『どのような仮説を立てるのか』というスキルを一番学んだ」と説明した。神奈川大学工学部で教員を務める中村弘毅さんはオランダに留学し、「日本と同じで狭い国土で技術を武器にしている国。留学することで新しい研究分野を見つけ、今は日本で誰も取り組んでいないことに挑戦している」と胸を張った。
現在日本政府は、留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」に取り組んでいる。2020年までに大学生12万人、高校生6万人の留学生派遣をめざしているが、欧州からも数が少ない日本人留学生の受け入れに期待がかかっている。今回のフェアに参加したマンハイム大学(ドイツ)の担当者は「中国、韓国、台湾の学生は多いが日本人学生は少なく、大学を更に国際化させるために来日した」と戦略を語った。
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